
外からの印象はもしかするとあまり変わらないのかも知れないですが、今から振り返ると、4年くらい前の僕はすごく狭い閉じた世界で窮屈に生きていて、死んだ魚のような顔、いや間違えました、目をしていたような気がしています。相変わらず色々なことに追われながらあたふた奔走していましたが、どれも空回りで、関わっている人たちもごく身近な少人数の人たちばかりでした。
あれから色々あって現在に至っているわけですが、そんな頃始めたtwitterでひときわ僕の死んだ魚のような目を引いたのが、この本の著者である家入一真さん(@hbkr)のtweetの数々でした。調べてみると、最年少でJASDAQに上場した経営者としてさらに数社のベンチャーを次々と立ち上げ、当時からWEBに関わる人たちで彼を信奉する人が大勢いるように思われました。
tweetの内容は、フォローしていない方は昔まで遡って読んでみることをオススメしますが、ビジネスやWEBに関するもの、日常のできごとや彼独自の視点でとてもウィットに富んだ表現、みんな薄々感じてるけど誰も言えなかったことを歯に衣着せずに発信されるメッセージ、そしてこの方はいったいどれだけタフなのだろうか、というくらい常人離れしたふるまいの数々…。(本書でも書かれていますが)ネットで知り合ってそのまま結婚したという奥さん(twitterでもかなりのフォロワー数)とのかけあいなど、見ていてニヤっと笑ってしまったり、微笑ましくなるものばかり。それで一気にファンになりました。
本書は2007年に出版された、著者の起業までの半生に主にスポットライトを宛てたものに一部加筆し昨年新装版として世に出たものです。ここ数年でも、ON THE CORNER (良く使ってる渋谷にあるお洒落なカフェです)をはじめとしたカフェ・アート事業、クリエイター支援のクラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」、普段は別々の場所にいる人々が集まってモノづくりをする「Liverty」、学費を払えずに教育を受けられない学生に向けた支援サービス「スタディギフト」など独創的なサービスを立て続けにリリース。「普通でいること」を嫌い、"人が集まる新しい遊び場"を作り続ける行動力とその原点は最初に設立した企業「paperboy」の社名にヒントが隠されている、という解説も本書内にあり、なるほどと思わさせられました。
「逃げることは決して悪いことじゃない」
繰り返し著者が発信しているこの言葉について、人生を昔流行ったプレステ2の「塊魂」(小さな球状の塊を転がしながら家の中のもの、外のもの、人・車・家・動物など色々なものを巻き込んでどんどん塊を大きくしていくゲーム)になぞらえてこう表現していて印象的だったので転載させていただきます。
- 「あんなふうになりたい」「こんなことをしたい」僕たちはいつだってそう思う。でも思ったことを思ったように実現するのには計り知れない根気と、努力と、そして強い運が必要で、ほとんどの人はそう思うように上手くはいかない。「こんなはずじゃなかったのに」の連続だ。だけど、それでいいじゃないかと、僕は思う。ハードルが立ちふさがれば、方向転換したっていい。恐そうなものがあれば、逃げればいい。決死の覚悟でぶつかって、予期せぬ方向に弾かれたっていい。その先でこそ出会うことができた「ちょっと良い物」を、一つ一つ取り込んで、とりあえず転がってみる。右往左往しても、ちっとも前に進まなくても、懸命に塊を転がす (本文より、一部略)-
後からいくらでも軌道修正や方向転換はできるのだから、とにかく今取り組んでいることを一生懸命やってみる、転がり続けてみないと自分の転がり方が果たして正しいのか、周りの人たちや物事をちゃんと巻き込めるのか、あるいは予期せぬ障害物や落とし穴、限界点の存在にすら気づけない、だからこそ「ああしたい」「こうしたい」「○○だからやりたくない」「△△だから自分には向いてない、無理だ」「今は忙しいからダメだ」などと思い悩んでいるのはとてももったいないことなんだと、自分に言い聞かせるようにしています。
まだ手に取ってない、という方はぜひ。