「10年後に食える仕事、食えない仕事」 | ONもOFFもあらゆるものに興味を持つ欲張りな人のブログ

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ONもOFFもあらゆるものに興味を持つ欲張りな人のブログ-10年後に食える

「グローバル化、IT化の急速な進行で、人口70億人を擁する世界経済のフラット化が進み、働く人々に否応なく大きなインパクトを与える」という、フリードマン著「フラット化する世界」にあるように、今後10年で日本人労働者の環境も一変するから、今のうちに備え、そのあおりを受けにくい「食える」仕事に就き、グローバルで勝負できるように腕を磨いておく必要がある、という書籍です。

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著者の渡邉正裕氏は、日本人が就いている職業を①重力の世界、②無国籍ジャングル、③ジャパンプレミアム、④グローカル の4つのカテゴリーに分類し、10年後までに訪れる状況を予測します。①重力の世界は、主に労働コストの低いアジア人にとって代わられ、グローバルの最低給与水準に収斂。②無国籍ジャングルは超成果主義のグローバルでの激しい競争を余儀なくされます。経営者やファンドマネジャー、ITスペシャリストグローバル人事等です。③ジャパンプレミアムは日本人ならではのマインド・気質が活きる職業。主に個人を相手にしたサービス業等。④グローカルは、日本市場での高度専門職、文化・商習慣・語学において外国人に容易に代用が利かない職業。弁護士、医師、記者、編集者等も含まれます。

驚くべきは、筆者による予測では、国勢調査の職業分類232種をこの4つのカテゴリーに当てはめると、現在①重力の世界の職業に就いている労働者が実に72.5%(4200万人)にのぼり、10年後には職を失って外国人にとって代わられるか、海外に出稼ぎにいかなければならなくなる、というとてもショッキングな内容。

よって、日本政府は、①重力の世界 にカテゴライズされる職業に就く外国人労働者の受け入れを安易に促進すべきではなく、逆に日本人労働者の雇用に貢献している企業の法人税を減税したり、日本人の就業率を高めるために、失業者手当よりも、就業者が得をする(就業意欲を促進する)仕組みを推進する、②のスペシャリスト人材が海外マーケットに離脱しないように優遇する、など対策を講じるべきだという提唱をしています。確かに納得のいく内容です。

さて、気になる人材紹介業はどうなのでしょうか。
本書では、日本国内での人材紹介業は、④のグローカル職にカテゴライズされる、とされていました。それは、「人脈や相互信頼関係が勝負で、顧客との長期的な関係が望ましい営業も、日本人メリットがある。ヘッドハンターはキャリア全体のコンサルタント的な仕事なので、プライベートな事情も踏まえた人生全体に関わる判断力が必要とされる」からとのこと。

これをどうとらえるかです。果たしてその価値を提供できているのか?

文字通り、相互信頼関係を築き、市場観、深い知見を元にした顧客の長期的キャリアの形成を支援する付加価値を提供できず、システマチックで流れ作業的(ルーチンワーク)なサービスになった瞬間に、存在意義がなくなってしまうことでしょう。システムではなく、その領域の専門家(人間)が求職者の転職活動を支援する意味とは。簡単なことではありませんが、遠くない将来に迫っている、10年後の労働市場を見据えて、僕らが今できることはたくさんあると思います。