
”診断医としての評価は高いが一匹狼で捻くれ者のハウスとそのチームが、他の医師が解明出来なかった病の原因をそれぞれ専門分野の能力や個性を生かして突き止めていく姿を描く医療ドラマ。”(Wikipediaより)
この主人公であり天才医師でもあるグレゴリー・ハウスが次々と運び込まれる原因不明の難病患者を診療し、助けてゆく1話完結型のストーリーです。医療救急系というだけで数え切れないほどある海外ドラマの中で、僕がハウスに魅かれている最大の理由は、その天才的な手腕と、人間嫌いで偏屈でユーモアが利き口達者で憎らしいというギャップだけでなく、実はそのチームマネジメントスタイルです。
3人の有能な若手医師たちを従えるハウスは、苦しむ患者の病名をつきとめるために決まってホワイトボードを使います。「症状: 熱、吐き気、痙攣、赤血球の減少・・・etc.」と書きなぐり、メンバーたちに病名やそれを突きとめるための検査法(MRI、血液検査、腰椎穿刺etc.)を矢継ぎ早に挙げさせます。「他には?」「他には?」の連続。ハウスは自分がその答えにいち早く気付いている場合にも、メンバーに考えさせ、悩ませ、わざと1人を贔屓したり、雑用をやたら任せたりして争わせ、ライバル意識を芽生えさせ、誤った答えが挙がれば皮肉たっぷりに小馬鹿にし、彼らの口から正解が出るのを待つのです。患者の命が危うくなるぎりぎりまで。
メンバーたちは日々とんでもないひどい扱いや言葉を浴びせかけられますが、(例えば患者の自宅に忍び込み、ダニや細菌が水道や冷蔵庫から繁殖していないか等平気で調べさせる)大抵、ハウスの判断は正しく、幾度となく絶望的な状況から患者は一命をとりとめます。よって、ハウスは一般患者の診療をサボったり、上司や病院経営者に歯向かったり、自室に閉じこもってテレビゲームに夢中になっていても、病院にいなくてはならない揺るぎない圧倒的な存在となっています。
また、このドラマのもう1つの特徴として挙げられるのが、「患者は嘘をつく」というハウスの強い信念。親に黙って悪い仲間とクスリをやった、妻に内緒で海外で浮気をした、廃墟で遊んでいるうちにうっかり野生の動物に噛まれたり、有毒廃棄物を吸引してしまった、など、家族に内緒にしておきたい行動や、心配をかけまいとつい嘘をついたり、強がることで、感染症などの原因がつかめないまま、病状はみるみるうちに深刻化していきます。患者の表情やさりげない会話、家族関係、習慣やクセなど小さな手がかりをハウスは見逃しません。そして論理的思考に基づいた機転と咄嗟の判断力。
ひねくれ者や集団を嫌う一匹狼的な性格、口の悪さ、勤務態度などはハウスだからこそどうにか許されるのですが(笑)、彼のマネジメントスタイル、患者の発言(表面的な材料)を鵜呑みにせず、あらゆるデータや手がかりを集め、徹底的に調べ、解決策を導くアプローチ、スピーディな判断力は見習うべき点がとても多いように思われます。きっとハウスの「できるリーダー」像も視聴者を魅了した理由の1つなのではないでしょうか。
もしご覧でない方は試しに観てみてください、きっとはまると思います。