国際ニュース誌「クーリエ・ジャポン」の編集部ブログ(これ結構面白いです)で先日こんな心理テストが紹介されていました。
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以下の質問に「はい」か「いいえ」で答えてください。
1) 私は平均的なドライバーより運転がうまい。
2) 私は平均的な人よりユーモアがわかる。
3) 私は組織で上位半分の「仕事ができる人」に入っている。
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どうでしょうか。この質問、たいていの人が「はい」と答えるそうです。
「はい」と回答した人が本当に平均点以上なのかどうかは別として、なぜ多くの人が「はい」と答えてしまうのか?人間は「自分だけは大丈夫だ」「自分は特別なんだ」と、楽観的になる傾向があり、この結果は、その表れなのだそうです。そして、「自分は平均以上なんだ」という予想が、もし「根拠のない思い込み」なのだとしたら、それは人の判断力を鈍らせて危険なのだ、解説されています。
以前ブログで紹介した記事「楽観主義者と悲観主義者」では、ある保険会社のセールス職において、楽観的な人のほうが悲観的な人よりも高い営業成績を収め、離職率も低かった、という調査がありました。
ポジティブであること自体はとても良いことなのでしょうが、将来を楽観することで、自分の今の行動や努力を緩慢にさせてしまってはいけません。「あの人は大変な状況なのにいつもポジティブだな」て思える人って身の周りにいると思います。そういう人たちは今の状況を楽観して怠けるのではなくて、「やるべきことを見失わなければ、今より良くしかならない、これはチャンスなんだ」と一層活発に動いているから、うまくいっているんだと思います。常にこういう思考回路でいられるように早くなりたいものです。
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もう1つの話。
「思い込み」と同じような意味で「先入観」という言葉をよく使います。どちらの言葉も、どちらかというと良い意味では使いませんよね。例えば、誰かと一緒に仕事をするときに、よく知りもしないのにその人の仕事ぶりの断片や第3者から聞いた話だけを見聞きしただけでこう想像するわけです。
「●●さんはこういうところが強くて、こういうところは苦手なんだろうな、そして今はこう考えていて、こんなことに悩んでいて、これからはこうしていきたいんだろうな」
こんな先入観を持って接してしまい、実際にはそんなことは思い込みに過ぎなくて、全く意味がなかった、真っ白な状態からスタートしたほうがよっぽどスムーズに仕事を進めたり、その人とうまくやることができた、良い方向に持っていかせることができた、なんてことはありませんか。僕は何度もあります。
たちが悪いのは、それなりに年を重ねて熟練してくると、段々コツがつかめてきて「想像力」を働かせると人の性格や強み、考えていることや悩んでいることが手にとるようにわかってくる機会が増えてくるということ。見当違いだったというケースも沢山あるはずなのに、人間は成功体験しか覚えていないもの。「自分なら少しだけ話聞けば、想像つくよ、何が問題なのか、大体分かるさ」とどんどんと傲慢になっていく。
人だけではありません。業務上の作戦・施策もそうです。慣れてくると過去の体験や思い込みにしがみつき、「前は上手くいかなかったから」「こんな数字は現実的じゃない」「問題点はきっとあそこに決まってる」「彼にはこの仕事はこなせないだろうな」と、根拠のない自信による「想像」だけが一人歩きし、現場の人間が何をどう考え、どういう問題に直面し、顧客はどんな不満を抱いているのか、といったところまで入り込み、自分の目と耳で確かめようという「面倒な」ことからつい足が遠のいてしまいます。無意識にこういう方向にいきがちなので、そうなっていないか要所要所でいつも立ち止まるようにするように心がけたい。
常識や思い込みや先入観にとらわれない「想像力」は行き詰まりを打開する思いもよらない解決策や素晴らしいアイデアを生み出します。ただ単に、コンピュータから出てきた「数字」と睨めっこしているだけでは「想像力」を磨くことはできません。だからこそ普段からまず「自分の目と耳で確かめる」という姿勢をもっともっと意識して取り組もうと思います。