急いでいる | ONもOFFもあらゆるものに興味を持つ欲張りな人のブログ

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人材紹介会社の事業企画・マーケティング担当。しごと・キャリア・マーケティング・雑誌・ネット・スポーツ・デザインなど関心分野は際限ありませんが「これは」と思った情報を自由奔放に発信してゆきます!新たな気づきや共感・笑いを感じていただければと思います。

人々がもっと余裕を持って身支度を整えて家を出たり、ちゃんと電車に間に合うように仕事や飲み会を切りあげたり、終電に乗れたことに安心して眠りこけたとしてもしっかり最寄駅で電車を降りることができるようになれば、タクシー業界は窮地に追い込まれるといっても大げさではないな、と最近本気で思い始めています。

タクシーの運転手さんには本当に色々な人がいる。
僕、いやほとんどの人は必要以上に会話はしたくないはずだ。
なにしろ、9割以上の確率でこっちは急いでいる。
急いでなければ、そもそもお金を払ってタクシーに乗らない。

それなのに、前触れもなくこんな会話が切りだされる。

「いやあ、お客さん、景気はどうですか?こっちは大変で~」
「えっと、まあまあですかね…」
きっとお客様対応マニュアルか何かの「急いでいるお客様の張りつめた気持ちを和ませるトーク集」に書いてあるのだろう。

「昨日●●線で人身事故があってタクシー待ちの行列で大変でしたよ」
「それは大変でしたね…(その路線使ってないし、早く着かないかな…)」

「あ、そこのお蕎麦屋さんって美味しいですか?」
いったいどうしたっていうんだ?

「お客さん、いい顔立ちをしてますね・・(60以上のおじいさん運転手)」
えっと、これは喜んでいいのでしょうか…。

「お客さん、寝てますか?」
頼むから寝かせてください。

いちばん大変だったのは、ある深夜、会社から家までの30分以上の道のりを延々と個人的な話をされ、僕はその間、「ふーん」「そうですか」「すごいですね」「へえ」「なるほど」の5つの言葉をうわごとのように繰り返していたこと。あれは辛かった。

金色の腕時計をしたスキンヘッドの運転手になると途端に形勢は逆転する。何度か乗ったことがあるが、大人しくしているのでとにかく話しかけないでください、という気持ちになる。しかもそういう時に限って細かいお金がない。

怖い目といえば、「この人は本当に免許試験を合格できたのだろうか?」と疑いたくなるようなドライバーもいる。なだらかなカーブなのに完全に中央分離帯のデコボコに乗り上げながら平然とハンドルを握っているのだ。生きた心地がしない。

そして、ご老人のドライバーの場合、安全運転を心掛けていらっしゃって運転がゆっくりなのは問題ないのだが、かなりの高い確率で、あの機械からレシートもチョロチョロとゆっくり出てくるのにはいつも笑ってしまう。あれは本当に不思議だ。

それに対して、(個人的には)「天下の」日本交通様のサービスは素晴らしい。「ああこの運転手さんの対応は気持ちいいな」と思うと、たいてい日本交通のタクシーなのだ。採用基準も高いそうだし、研修・教育体制もとてもしっかりしているとのこと。なかなか言葉では言い表せないのだが、マニュアルやルールに従っている様子はなくて、あくまで自然体。気持ちよく目的地まで客を乗せようという気持ちが伝わってくる。

ただ、明日から僕は前もって支度をし、終電にも確実に乗り、寝過ごしもしない完璧な人間に生まれ変わるのでタクシーを利用することはなくなってしまいますから、もうこのような刺激的な体験はできないのがとても残念です。