7月4日(日)に両国国技館で開催された、
楽天証券主催のセミナーに足を運んできました。
都合が悪くなってしまった上司から譲られたもので、なんと、同じ日に小泉純一郎・竹中平蔵両氏が講演するという豪華な布陣。日程調整や講演料を考えても、二度と実現しないのではないかという声もあったようです。
「日本の将来を考える」といった主旨の講演だったかと記憶していますが、選挙前ということもあり、2名とも話題の中心は日本の経済・財政政策。
小泉氏は、民主党が政権交代に成功した途端に、行政の無駄排除に躊躇している様子を、
「自民党 らしさでてきた 民主党」
と評したのを皮切りに、民主党の一貫性に欠ける政策を批判していました。「楽天証券」だから日本の将来も「楽天的にいきましょう」と観衆の笑いもとっていました。
また、今の日本には不況やグローバルでの大転換への「備え」が重要で、石油危機で味わった教訓を活かして、石油備蓄や代替エネルギーの開発などに取り組んでいることを例に出し、さらに印象的だったのは、「憲政の神様」と呼ばれた25回連続で総選挙に当選、議員勤続63年という偉業を成し遂げた尾崎行雄のこの言葉を紹介していました。
「人生の本舞台は常に将来にあり」
驚くべきことに彼が94歳の時に残した言葉です。
現状に甘んじず絶えず努力し、最高のパフォーマンスを発揮できるように「備え」続けていたということです。見習いたいです。
続いて登場した、竹中平蔵氏は、「国技館だからといって野球賭博の話をしに来たわけではありません」などとブラックジョークを飛ばしながらも、話題はやはりかつて閣僚として腕を振るった財政政策。
「小泉・竹中型の政策」をいくら批判してくれても構わないが、「リストラ型」と評されるのは困る。2002年から約5年にわたる小泉政権時代に、財政赤字は大幅に縮小し、GDPは年率2%成長を遂げ、郵政民営化をはじめとした構造改革で、失業率が上がるどころか逆に雇用は100万人増えた。今の事業仕分けで数千億円の支出を節約しても、その代わりにこども手当、高速道路料金値下げ、高校無償化などのばらまき政策であっという間に吹っ飛び、苦し紛れに消費税増税論が唐突に出てきている。」
「海外を見ても、1党独裁より政権交代は良いこと。ただし前政権の政策を全否定してはいけない。英ブレア政権は前政権の良い政策をさらにブラッシュアップし、悪い政策を改善したことでうまくいった典型例。全否定したら、国民は混乱してしまう」
「民主党の有力議員にお会いすると、「党の事情もあるので」とか「私の立場上なかなかそういったことは・・・」と口を揃えて言う。思い切ったことをするには批判を恐れていてはいけない、頑張ってほしい!」と民主党にエール。
「現実を見誤ってはいけない。マスコミの論調に惑わされず、自分の目で確かめることが大切」。
彼は同時に「中国のGDPが今年日本を追い抜き、このペースで8年後には日本の2倍、そして遠くない将来、あのアメリカも抜くことを無視してはいけない」 とも話していました。「上海万博で中国人のマナーの悪さを各メディアが盛んに取り上げていますが、実際は各国の技術を取り入れようと大勢の若者が何時間も熱心に待っている。」と。
こわいのは、人を見た目で判断したり、思い込みだけでビジネス上の重要なジャッジをしてしまうことですね。
余談ですが、楽天証券の口座開設者を対象にしたこのイベント、資産運用に長けた富裕層をターゲットにマンション投資会社や外資金融会社がいくつもブースを構えていたのですが、Tシャツ、短パンで登場した僕には大半の担当者はパンフを手渡すことを躊躇していました。
ただ、彼らは「ぼくには金融資産がほぼない」 という圧倒的な現実を見誤ってはいなかったようです。とても発見の多い1日でした。
政治・経済についても知らないことが本当に多いことが発覚したので、関心を持とうと思います。