3人の殺し屋たちが登場する「ハードボイルド」小説です。
その名も「鯨」「蝉」「押し屋」。
登場人物たちの日常がやがて1つの結末に向かって収束していく
ストーリー展開は、もはや伊坂さんの得意とするパターンです。
タイトルにもなっているグラスホッパー(grass hopper;飛蝗;バッタ)は、
幼虫時に狭い環境で密集すると、群生相という飛翔能力と集団性が高い
成虫に変化するそうで、これが、都市社会の喧騒の中で、凶暴性を増して
いく現代の人間社会に重ねられています。
作品自体のスピード感ある展開も良かったですが、伊坂さんの作品は
学術的な(本作では生物学?)思索・教訓・警告といいますか、示唆に
富んだ文体が盛り込まれているところも作品に引き込まれる理由でしょうか。
また、「鯨」の愛読書である、「罪と罰」は下巻の途中で挫折していましたが、
今度読んでみようと思います。
そういえば、「カラマーゾフの兄弟」も復刻?されてかなり売れている様子。
挑戦したい作品が目白押しです!