朝日新聞日曜版「GLOBE」は読み応えがあって、いつも楽しみにしています。先日の『Mystery of Brain ~ 脳のふしぎ』 では、まだ仕組みが良く分かっていない神秘的な存在である「脳」のあれこれについ特集が組まれていました。
●僕は右脳タイプだから「ひらめき」には自信があるんだよね
●私は「女脳」だから地図が読めないの
●人間は脳の数%しか使っていないからまだ広大なのびしろが広がってるんだ
●睡眠学習すれば明日のテストはバッチリだ
●子どもは3歳になるまでに脳の発達度合いが決まってようだ
脳をとりまく色々な噂を耳にしたことがありますが、
これなんと、2007年のOECDの発表によると、「科学的根拠のない神話」なんだそうです。
なんというか嬉しいような、哀しいような気分になりますね。
ただ世界中で驚くようなスピードで脳科学の研究は進んでいて、例えば、コンピュータが脳の血流の変化を測定して、その人が心の中で何を考えたかを瞬時に当てたり(物体や簡素な言葉なら言い当てられるそうです、恐ろしい・・・)、「立つ」「歩く」と考えると、脳波が反応して身体に取り付けられたロボットがその動きをすることが既に実験ではできるようになっているのだとか。つい数年前までは想像もできなかったことではないでしょうか。
世界最大の市場調査会社ニールセンが、脳波を使って広告への人間の反応を調べるベンチャー企業を買収した、というニュースも紹介されていましたが、現在のWebマーケティングの広告(いわゆる行動ターゲティング広告の類)よりもさらに進化した広告メニューが近い将来当たり前のように利用されている世の中になるかもしれません。(これも消費者側としては恐ろしい…)
ところで先ほどのOECDに「神話」とされたものの中に、
「人間は年齢とともに記憶力が低下する」というものは入っているのでしょうか?
いや、入っていないはずです。人の名前を忘れてしまったり、テレビに日常でているタレントの名前も全く出てこない、つい先日読んだ本の内容が完全に忘却の彼方。。なんてことがきっと皆さんにもあると思うからです(ありますよね…)
ただ、全く必要のないのに小学校~高校あたりの記憶だけ断片的に鮮明に覚えていることがあります。どういうわけか興味本位で憶えた円周率は3.1415926535・・・20ケタくらい忘れてないですし、徳川15代将軍もいまだに言うことができます。中学の修学旅行でウォークマンを内緒で携行した同級生が全員が見守るなか教師にかなづちで滅茶苦茶に壊されたり、楽しみにしていた高校最後の文化祭前日に、僕の目の前でどうしようもない理由で殴り合いの喧嘩に発展し、謹慎処分になって泣いた友人たちの事件の記憶によって、貴重な脳が使われてしまっていると思うと、とても不安な気持ちになってきます。
僕が読んだ本や考えたこととかをブログに書いているのも、後で忘れてしまった時に想い出せるようにというのも目的のひとつです。(たまに読むと、「ま、まさかこんな本読んだこと絶対ない!」と目を疑いたくなるような投稿を発見する瞬間があります)
LINEのポコパン(無料パズルゲーム。中毒性が強い)でもっと脳トレをすることにします。
日経新聞の「経済教室」の欄でも雇用、経済、統計、心理学系の記事で面白そうなものは後でまとめ読みしてます(当日読めよ)
その中で、最近読んだ記事では、
”就業支援は「性格力」重視で~真面目さ 雇用に影響”
(14/1/20掲載 鶴 光太郎慶大教授)
が、なるほどと思わさせられました。
(以下、同論文より一部抜粋あり)
ノーベル経済学賞の受賞者であるジェームズ・ヘックマンの研究によると、幼児教育のプログラムにおいて、ペーパーテストで測れる「認知能力」よりも、「非認知能力」 = 個人的形質(性格スキル)を向上させることで、その後の人生に大きなプラスの影響を与えるのだそうです。
そしてその後、幼年期だけでなく、青年期や職業訓練期においても視野に入れており、人の「性格スキル」は、遺伝的なものでほとんど変わらないとされてきたが、むしろ人生の中で学ぶことができ、変化することがあるというのです。
心理学者達の長年の研究によると、この性格スキルは、「ビッグファイブ」という以下の分類から成り立っているようです。(ヘックマン=カウツの論文)
●真面目さ(自己規律/粘り強さ/熟慮)
●開放性(好奇心/想像力/審美眼)
●外向性(積極性/社交性/明るさ)
●協調性(思いやり/やさしさ)
●精神的安定性(不安/いらいら/衝動が少ない)
これを計測されて結果をつきつけられたとしたら立ち上がれなさそうなのですが、確かに知能や学問的な能力より重要(伸ばすのが難しいという意味でも)というのもうなずけます。
記事内では、スウェーデン軍の兵士入隊(面接)時の失業状態の有無や賃金の高さと性格スキル/認知スキルの相関関係や、不況時において、徒弟制度に起源をもつ職業実習が盛んなドイツ、スイス、オーストリアの若年失業率が他の国々と比べて相対的に低かった、など、興味深い調査がいくつも紹介されていました。
ブログ執筆を粘り強く継続することができず、衝動的に書いては半年、1年と不真面目にさぼり、話題もくだらないことから小難しいことまで一貫性のないもので読者へのやさしさに欠けている時点で、僕の性格スキルはずたぼろだと思いますが、、認知スキルと比べて、後年(大人になっても)でも伸びしろがある、というヘックマン氏の研究成果にすがる思いで、これからもブログがんばろうと思います。
その中で、最近読んだ記事では、
”就業支援は「性格力」重視で~真面目さ 雇用に影響”
(14/1/20掲載 鶴 光太郎慶大教授)
が、なるほどと思わさせられました。
(以下、同論文より一部抜粋あり)
ノーベル経済学賞の受賞者であるジェームズ・ヘックマンの研究によると、幼児教育のプログラムにおいて、ペーパーテストで測れる「認知能力」よりも、「非認知能力」 = 個人的形質(性格スキル)を向上させることで、その後の人生に大きなプラスの影響を与えるのだそうです。
そしてその後、幼年期だけでなく、青年期や職業訓練期においても視野に入れており、人の「性格スキル」は、遺伝的なものでほとんど変わらないとされてきたが、むしろ人生の中で学ぶことができ、変化することがあるというのです。
心理学者達の長年の研究によると、この性格スキルは、「ビッグファイブ」という以下の分類から成り立っているようです。(ヘックマン=カウツの論文)
●真面目さ(自己規律/粘り強さ/熟慮)
●開放性(好奇心/想像力/審美眼)
●外向性(積極性/社交性/明るさ)
●協調性(思いやり/やさしさ)
●精神的安定性(不安/いらいら/衝動が少ない)
これを計測されて結果をつきつけられたとしたら立ち上がれなさそうなのですが、確かに知能や学問的な能力より重要(伸ばすのが難しいという意味でも)というのもうなずけます。
記事内では、スウェーデン軍の兵士入隊(面接)時の失業状態の有無や賃金の高さと性格スキル/認知スキルの相関関係や、不況時において、徒弟制度に起源をもつ職業実習が盛んなドイツ、スイス、オーストリアの若年失業率が他の国々と比べて相対的に低かった、など、興味深い調査がいくつも紹介されていました。
ブログ執筆を粘り強く継続することができず、衝動的に書いては半年、1年と不真面目にさぼり、話題もくだらないことから小難しいことまで一貫性のないもので読者へのやさしさに欠けている時点で、僕の性格スキルはずたぼろだと思いますが、、認知スキルと比べて、後年(大人になっても)でも伸びしろがある、というヘックマン氏の研究成果にすがる思いで、これからもブログがんばろうと思います。
「目撃せよ。体感せよ。記憶せよ。
ピカソと並ぶ美の巨匠。没後アジア初の回顧展。」
キャッチがこれまたファンの心をくすぐるフランシス・ベーコンの展覧会、ずっと行きたかったのですが、東京国立近代美術館にようやく足を運んできました。
彼の作品は人間の内面に潜んでいる不安・痛み・狂気・叫び・暗さ・恐怖などのエネルギーをデフォルメされた人間の姿に具現化するという作風で、現代美術に大きな影響を与えた20世紀を代表する画家と言われています。それにしても上の写真の絵も、教皇が叫んでいる様を描いているようなのですが、迫力があります。。夢に出てきそうですね。
特徴的だった点をいくつか挙げると、まず、初期に描いた「叫び」の作品群では、人物が立方体の箱の中で叫んでいる構成になっていて、被写体(人物)と絵を鑑賞する人との間に確固たる隔たりを感じさせるために、あえて反射の強い透明のガラスで絵を覆い、展示されるようにベーコンはこだわったそうです。(「反射が強くて絵の前に立って鑑賞している人の姿が反射してしまうので見づらいですが、本人の強い希望があり、ご了承ください」といった断り書きがありました)
また、ベーコンは影響を受けた画家や映画なども独特の世界観でアレンジし、世に多くの作品を残しています。この写真、色合いや雰囲気に見憶えがありませんか??
はい、ファン・ゴッホです。この田園風景の温かみのあるゴッホの作品ですが、ベーコン風になるとこんな感じになります。これも夢に出てきそうですね。
これは今回の展覧会のポスターにも登場した「ジョージ・ダイアの三習作」。これも三幅対(トリプティック)と呼ばれる独特の作風で、証明写真をヒントに、別角度から同じ人物を描く手法を編み出したと言われています。モデルはベーコンの恋人だった女性ですが、この作品完成の数年後に自殺してしまいます。
展覧会では、インタビューに答える彼の映像も放映されていました。歴史上の人物とはいえ、映像に残っているのはなんとも不思議な感覚でした。彼は「いったいどんな風に(そんなにユニークな、常識を逸脱した)作品を書くのだ?」といった質問に対して、「デッサン(下書き)はなんとなくするんだ。そうしたらその時が訪れるのをじっと待つだけさ。それがいつ来るのかは分からない。でもそれが訪れたら、後は流れに身を任せてひたすら描くだけ。その時の記憶すら残っていないよ」 正確にメモしていたわけではないので語感が少し違うかもしれませんが、たしかそんなような言葉を注意深く、そして力強く話していました。
ロンドン郊外にあったアトリエとたたずむベーコンの姿です。途方もなく散らかっていますが、、、あの突き動かされるような迫力と熱量ある作品群の多くがここで生み出されていたわけです。
「目撃せよ。体感せよ。記憶せよ。」
は本当になるほどと思わさせられる内容でした。かなり癖のある作品ですが、東京は5月26日までらしいので興味ある方はお見逃しなく。人が絶望している作品のポストカードの買い過ぎには気をつけましょう。僕は冒頭に紹介した「叫んでいる教皇」を買い過ぎてしまい、使い道がないことに気付いて叫びそうになっています。
ピカソと並ぶ美の巨匠。没後アジア初の回顧展。」
キャッチがこれまたファンの心をくすぐるフランシス・ベーコンの展覧会、ずっと行きたかったのですが、東京国立近代美術館にようやく足を運んできました。

彼の作品は人間の内面に潜んでいる不安・痛み・狂気・叫び・暗さ・恐怖などのエネルギーをデフォルメされた人間の姿に具現化するという作風で、現代美術に大きな影響を与えた20世紀を代表する画家と言われています。それにしても上の写真の絵も、教皇が叫んでいる様を描いているようなのですが、迫力があります。。夢に出てきそうですね。
特徴的だった点をいくつか挙げると、まず、初期に描いた「叫び」の作品群では、人物が立方体の箱の中で叫んでいる構成になっていて、被写体(人物)と絵を鑑賞する人との間に確固たる隔たりを感じさせるために、あえて反射の強い透明のガラスで絵を覆い、展示されるようにベーコンはこだわったそうです。(「反射が強くて絵の前に立って鑑賞している人の姿が反射してしまうので見づらいですが、本人の強い希望があり、ご了承ください」といった断り書きがありました)

また、ベーコンは影響を受けた画家や映画なども独特の世界観でアレンジし、世に多くの作品を残しています。この写真、色合いや雰囲気に見憶えがありませんか??
はい、ファン・ゴッホです。この田園風景の温かみのあるゴッホの作品ですが、ベーコン風になるとこんな感じになります。これも夢に出てきそうですね。

これは今回の展覧会のポスターにも登場した「ジョージ・ダイアの三習作」。これも三幅対(トリプティック)と呼ばれる独特の作風で、証明写真をヒントに、別角度から同じ人物を描く手法を編み出したと言われています。モデルはベーコンの恋人だった女性ですが、この作品完成の数年後に自殺してしまいます。
展覧会では、インタビューに答える彼の映像も放映されていました。歴史上の人物とはいえ、映像に残っているのはなんとも不思議な感覚でした。彼は「いったいどんな風に(そんなにユニークな、常識を逸脱した)作品を書くのだ?」といった質問に対して、「デッサン(下書き)はなんとなくするんだ。そうしたらその時が訪れるのをじっと待つだけさ。それがいつ来るのかは分からない。でもそれが訪れたら、後は流れに身を任せてひたすら描くだけ。その時の記憶すら残っていないよ」 正確にメモしていたわけではないので語感が少し違うかもしれませんが、たしかそんなような言葉を注意深く、そして力強く話していました。

ロンドン郊外にあったアトリエとたたずむベーコンの姿です。途方もなく散らかっていますが、、、あの突き動かされるような迫力と熱量ある作品群の多くがここで生み出されていたわけです。
「目撃せよ。体感せよ。記憶せよ。」
は本当になるほどと思わさせられる内容でした。かなり癖のある作品ですが、東京は5月26日までらしいので興味ある方はお見逃しなく。人が絶望している作品のポストカードの買い過ぎには気をつけましょう。僕は冒頭に紹介した「叫んでいる教皇」を買い過ぎてしまい、使い道がないことに気付いて叫びそうになっています。