前回の記事の続編です。

輸送部隊の後は、例年通り戦車部隊の行進が続きます。
“いよいよ来るか?”
と、期待したまめ八でしたが、現れたのは例年通り74式戦車でした。




“あれ~・・・?。国家機密法案が可決された影響なのかなぁ?”
・・・なんて思いながらも、74式戦車のカッコいいスタイルと、迫力ある行進に、失望半分、納得半分のまめ八でした。
それにしても74式戦車は何度見ても美しいスタイルだと思います。



やれやれ・・・
今年も例のモノは参加しなかったか。。。
苦笑
まめ八は諦めかけたのですが・・・
やはり今年はそれでは終わりませんでした。

真打の登場です。



2009年に正式採用された陸上自衛隊の最新鋭戦車である“10式戦車”が姿を現したのです。


この10式戦車は、陸上自衛隊の部隊の中でも極一部にしか配備されていない最新鋭戦車なんですよ。


74式戦車の後継戦車として開発された90式戦車が、世界でもトップクラスの性能を目指す余り大型化と大重量化し、インフラの関係上、北海道以外では使えなくなってしまった事の反省に基づいて開発された新型戦車です。
日本の国情に合った小型軽量の車体であるにも関わらず、90式戦車をも上回る世界トップクラスの性能を有していると言われています。


2008年に報道公開され、2009年に正式採用されましたが、現代戦における戦車の有用性や、国家財政の急激な悪化に伴う防衛予算の削減等によって配備は遅々として進みませんでした。
しかし、中国の急速な軍備拡張に対抗する為に全国に先駆けて西部方面隊の第8戦車大隊への配備がようやく始まりました。


この戦車の一番の特徴は、陸上自衛隊の戦車としては初めてC4Iシステム(指揮・統制・通信・情報・コンピュータ・相互運用性の4つのCを統合運用する為の装備)を搭載していることです。
主砲は、世界の戦車の中でも最も威力が高いドイツのラインメタル社製44口径120mm滑腔砲を日本鋼管が改良の上ライセンス生産したもので世界各国の戦車を確実に撃破できると言われています。




74式戦車の曲線を多用した流麗なスタイルに比べると、直線基調のややいかつい感じがしますが、これは複合装甲と、生産段階から交換可能な構造を持ったモジュール装甲を採用している為です。
車体のサイズや重量は、国内のインフラに対応する為に90式戦車に比べてコンパクトにまとめられており、74式戦車とほぼ同等となっています。


今回、観閲行進に参加した10式戦車は3輌でした。
対テロ戦闘や、離島防衛などの為の緊急展開部隊の必要性、そして財政赤字による防衛費の削減などの影響から、当初、74式戦車の代替として考えられてていた10式戦車の調達は、削減され続けており、将来的には北海道は90式戦車、九州に10式戦車、そして本州と四国は極一部の部隊を除いて戦車は配備しない方向になるだろうと言われています。
ちなみに、1輌あたりの調達費用は7億円だそうで、今後生産が増えればこの価格は下がってくるとみられます。
参考までに、90式戦車の調達開始時点での価格は11億円。74式戦車が6億円だったみたいです。
10式戦車は最新鋭戦車でありながら価格が随分抑えられていますが、これは車体各部のパーツに民生品を多用してコストの低減が図られた結果です。


中隊長の手が上がり、号令一下、3輌の戦車は黒煙を吹き上げて急発進を始めました。


ところで、戦車ってどうやって進路変更をするのかご存知ですか?

自動車のようにハンドルを回すことによって車輪の方向を変えて曲がる事は出来ませんよね。

戦車に限らず履帯を使って走行する車輛は、左右の履帯の回転数を変えることによって進路を変えているのです。
例えば、右に曲がりたい場合には、右側の履帯
だけ回転数を落としてやるワケです。曲がる角度は、曲がりたい方向の履帯の回転数をどれ位落とすかによって調節しています。

直角に曲がりたいならば、曲がりたい側の履帯を停めてやるわけです。
コレを応用すれば、その場で一周旋回する事が出来ます。これを信地旋回と言います。更に、左右の履帯の方向を逆に回転
(例えば、右側を前進、左側を後進)させてやる事によって急速で旋回することも可能です。これを超信地旋回といいます。
ただ、戦車には旋回する砲塔がついているので、車体を旋回させる必要が少ない上、旋回するという事は戦車の弱点である車体後部を
敵に晒す事にもなるので実際には余り行わない機動なんだそうです。また、泥濘などで信地旋回を行うと、履帯が切れたり、転輪から外れてしまう危険性もあります。

以前の戦車は、左右の履帯の出力をコントロールする2本の操縦桿を使って戦車の進行方向を決めていました。また、変速の際にはダブルクラッチでシフトを変えてやらなければならなかったので熟練した技術が必要でした。
しかし、この10式戦車は自動車と同様ハンドルで操縦するだけでなく、CVTなので変速の際のクラッチ操作も必要ありません。
動かすだけなら女性や子どもでも簡単に出来てしまうのです。


空冷4サイクルV型8気筒ディーゼルエンジンと油圧機械式無段階自動変速走向装置(CVT)は、
重量44tの車体を、最高速度70㎞/hでの走行を可能としています。



エンジン音は、74式戦車に比べると随分静かでした。


あっという間にまめ八の前を通り過ぎてしまいました。


あ~あ・・・行っちゃった。
でも、観閲行進に参加したという事は、この後駐屯地内での展示やデモ機動があるハズ。。。
急いで駐屯地内に向かわねば・・・

かくして、カメラを抱えて足早に駐屯地内に向かうまめ八でした。

ちなみに、駐屯地内で購入したペットボトルのお茶。。。



“自衛隊限定”販売で、一本100円でした。



次回は、駐屯地内に展示してあった10式戦車をじっくりとご紹介したいと思います。