先週の日曜日、まめ八の家の近所にある陸上自衛隊西部方面隊の創隊58周年記念行事を見学してきました。

西部方面隊がある健軍駐屯地が家の傍にある事もあって、まめ八はこの行事にほぼ毎年出かけています。

このイベントの最大の見せ場は、西部方面隊の装備車輛が基地周辺の一般道を走行するパレードです。

今年のパレードでは目新しい装備も見られなかったので画像でのご紹介は行いません。

ただ、3年前にまめ八がYouTubeに投稿した動画があるのでコチラでその雰囲気を感じて頂ければ・・・と思います。

 



陸上自衛隊の装備車輛の中で最も人気があるのはやはり戦車ですネ。

西部方面隊に所属する第8戦車大隊の装備洗車は74式戦車です。
自衛隊が装備する戦車の中では2代目の国産洗車となる74式戦車は、 低姿勢で避弾傾至に優れた車体形状と、強力なロイヤル・オードナンス社製 L7 51口径105㎜戦車砲とレーザー照準器を装備し、起伏に富む日本の地形に応じで車輛の姿勢を前後、左右、高低に変化させることが出来る独自の油圧サスペンションを備えるなど、36年前に正式採用された世界でもトップレベルの性能を有していました。

ところが1990年代の冷戦終結により、大規模な地上戦闘が生じる可能性が低くなり、専守防衛を旨とする陸上自衛隊における戦車の有用性に疑問符が付けられてしまった事や防衛予算の削減、そして何より後継車であった90式戦車の一両当たりの調達費が高価であった事に加えて、その車体サイズや重量が日本のインフラや地形にそぐわない、といった様々な問題が指摘された事によって90式戦車の調達が進まずに、採用から約40年を経た現在に至っても、74式戦車が陸上自衛隊のMBT(主力戦車)の重責を担っている現状が続いています。

 
 

 
  
コレからデモ機動が始まります。
74式戦車は4名の定員(車長、砲手、操縦手、装填手)ですが、今回はデモ機動なので2名の隊員しか乗車しません。
ちなみに90式戦車や最新鋭の10式戦車は、砲弾の自動装てん装置が装備されているので装填手が必要なくなった事により、定員は3名に減っています。(ただ、戦車は日頃のメンテに手が掛かるので乗員が1名減るとその分、一人あたりの仕事が増える事になります)

 
乗員が乗り込みます。
かなり窮屈そうですが、被弾などによって戦車が動けなくなった場合には素早く脱出しなければならないワケですから大変です。
ちなみに戦車の中はかなり窮屈で、暗い上に油やその他の臭いが充満し、“夏は暖房付き、冬は冷房付き”と揶揄される位に過酷な環境なんだそうです。74式戦車以降の陸上自衛隊の戦車は一応、エアコンが付いているそうですが、それも乗員の為ではなくコンピュータを熱から保護する為のモノなんだそうです。


 
乗員が乗り込み、エンジンがかかりました。
通常、戦車のエンジンは、被弾した際の火災発生を極力避けるために燃えにくい軽油を使用するディーゼルエンジンが主流です。
ただし、最近では高い機動力を求めてガスタービンエンジンを使用したモノもあります。(アメリカ軍のM1エイブラムスなど)
 

 

 
74式戦車独特の姿勢制御のデモンストレーション。。。
まずは、低姿勢状態です。上の写真と比べてみて下さい。
サスが縮んで車高が低くなっている事が解ります。


 
次は車高を上げた状態。
前方の障害物に身を隠しながら射撃する事が可能です。


 
 車体を左側に傾けた状態。 

 
右側に傾斜させた状態。

 
後方に車体を傾けた状態です。(人間でいえば仰け反った状態)


前傾姿勢。
  

 
 これら、前後左右の姿勢制御は、斜面や段差でも車輛を水平に保って正確な射撃を行う際に使用されます。 

最後に、砲塔旋回とスタビライザーを使った砲身の仰角制御のデモが行われました。
長い砲身の1ロイヤル・オードナンス社製 L7 51口径105㎜戦車砲が一際目に付きますが、東京都庁ビルを5発程で倒壊させてしまう位の威力があるそうです。


 
コレまでご紹介してきた74式戦車によるデモ機動は、実は、毎年行われているイベントなのです。
3年前に撮った動画を下にアップしておきますので、画像だけでは物足りない方はどうぞご覧下さい。


 

 

 




さて、この74式戦車も正式採用から約40年が経過し、既に時代遅れの感は否めません。
最新鋭の10年式戦車の年間調達数が10数両程度ですから九州の部隊に配備されるのはあと数年はかかると思います。
それまでは、この74式戦車に老骨に鞭打って現役で頑張って貰わないといけませんネ~。

最後のオマケ画像。。。
戦後、国産初の戦車である61式戦車です。
ゴジラなどの怪獣映画では随分活躍していました。(・・・いつも最後はヤラれていましたが。。。

 
尖閣諸島に竹島、中国海軍の増強と、日本周辺を巡る国際情勢が緊迫化していく中、自衛隊の果たす役割はコレから大きく変化していくかもしれません。
出来ればコレ等の装備が抑止力としてのみ機能し、実戦で使用されることが無い事を心から念じております。