下級財〜景気回復が皆をハッピーにするわけではない[No.107] | 起業して不安はあるもののワクワクしている50歳・IT技術者・中小企業診断士のブログ
文章長すぎ!って方は赤字部分だけお読みください。
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下級財とは消費者の給料が増えると売上が落ちる商品、サービスのこと。

アベノミクスによる景気回復が確実なものになりつつある中、デフレの勝者と言われていたユニクロが4/10に減益を発表した。国内の既存店が振るわなかったようである。

お金に余裕がでてくると価値の高いものが嗜好されるようになり安いだけのものへの関心が低くなる。不遇の時に皆のために頑張ってきたのに、いざ良くなったら素通りするのか?って格安店の恨み節が聞こえてきそうである。クーデター成功の後に主導権をめぐって内輪揉めしている仲間達をみて高杉晋作が残した言葉みたいに。

人間というのは、艱難は共にできる。しかし富貴は共にできない。

そんな消費者心理の変化に対してすべての格安店がただ指をくわえて見ているわけではない。280円の牛丼がメインだった吉野家では580円の牛すき鍋膳がヒットした。味は文句のつけようがなく割高感は感じない。我が家ではそれまで吉野家に行くことはなかったが、鍋を目当てに吉野家に行くようになった。2月に発表された決算は経常利益32.9%増の素敵な内容だった。ガスト、バーミヤンにも最近行ったが同じような変化を感じる。

このように景気は徐々に明るさを取り戻すような兆しがみられるが、このまま本格的に立ち直って1980年代の熱気を取り戻せると思っている人は少ないのではないだろうか?行き過ぎたマイナスがゼロに戻るくらいなのかと僕は思っている。

何故かと言うと国際的な競争の浸透によりモノの価格や給料が均一になりつつある。先進国は下降し、新興国は上昇することにより一つの均衡に向かう。グスタフ・カッセルが購買力平価説で唱えたように。

だから脱デフレ、給料上昇みたいに言われているけど世界に目を向けると長期的には一筋縄にいかないと思っている。アジアの「明日のジョー」みたいなハングリーでかつ才能があるにも関わらず給与水準は日本の何分の一っていう人達との本格的な競争の予感はこのところの楽観を一蹴する。

このようなことで低価格との上手な付き合い方の重要性が増していくと考えている。低価格を否定する意見を最近よく耳にするが必ずしも僕はそうは思わない。苦しい試行錯誤・工夫の繰り返しによって到達した競合が追随できないほどの低コスト構造が根底になっているのであれば素敵なことだ。問題なのは労働者の給料や原料を安易に削るだけの犠牲によって成り立つ低価格だ。そのようなことは誰も幸福にしない、お客さえも。劣悪な労働条件によって引き起こされた冷凍食品への毒物混入事件のように。

裕福になった途端に下積み時代にプライド、金銭といった面において支えてくれた妻をないがしろにするといった話を聞いたことがある。寂しい話だ。成功の後に夫婦で牛丼でも食べながら「あの時が一番輝いてたな」とか笑顔で振り返れたら素敵だ。Champagne Supernova(OASISの成功後の不安を歌った曲)

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