9月6日の夜、家から見守るパンスター・アクロ🧭🌊

午後3時42分
今日の午後3時42分(韓国時間)、パンスター・アクロがノヴァヤゼムリャ(Novaya Zemlya)北端のジェラニヤ岬(Cape Zhelaniya)を回った。その地点は北緯77度21分、速力は17.1ノット。昨夜ここに「明日の午後4時前後」と書いたが、実際との差は18分だった。

岬を回った瞬間にカラ海(Kara Sea)が終わり、バレンツ海(Barents Sea)が始まる。ロシアの北極海航路(NSR)水域もその線で終わる。8月31日の朝にベーリング海峡(Bering Strait)のデジニョフ岬(Cape Dezhnev)の線を越えてから六日と七時間である。これでこの船は、北極海の四つの海、チュクチ海(Chukchi Sea)・東シベリア海(East Siberian Sea)・ラプテフ海(Laptev Sea)・カラ海をすべて渡った初の韓国コンテナ船になった。


パンスター・アクロの航跡と現在位置(9月6日21:23 KST時点)。作成 孫慶齡(Son Kyong Ryong)

カラ海、最後の記録
カラ海に入ったのは9月5日午前9時32分。出たのが今日の午後3時42分だから、30時間10分、距離は493海里、平均16.3ノット。最低が15.4ノット、最高が17.6ノット。この海に減速と呼べる区間はなかった。

岬を回ってから速力はさらに上がった。いま17.8ノットで走っている。バレンツ海に入ってからの5時間半、17.0ノットを下回ったことがない。北極海を出たとたんに今航海で最も速い区間が現れたことになる。不凍の海には氷も浅瀬もない。


海域別の通過記録。バレンツ海が八つ目の海である。作成 孫慶齡(Son Kyong Ryong)


いまどこに
最後の衛星位置は9月6日21時23分(韓国時間)、北緯76度54分・東経61度30分、バレンツ海。出港16日目、累計5,524海里、全行程の67.6パーセント。計画の22日4時間のうち14日24時間を使った。

北極海の四つの海を渡るあいだ、船が止まったのはチュクチ海での一度だけ。8月31日の夕方から5時間近く漂泊した。それを除けば四つの海の平均は15ノットから16ノットで、北太平洋(North Pacific)区間(15.1ノット)よりむしろ速い。速力の記録を見るかぎり、最後まで氷で遅れた区間はなかった。

この先
次の関門はノルウェー(Norway)北端のノールカップ(North Cape)。残り約667海里、いまの速力なら二日かからない。9月8日前後にノルウェー沖に入り、そのころロシアの排他的経済水域も抜ける。その先は11日から12日に北海(North Sea)、フェリクストウ(Felixstowe)到着予定は9月13日17時UTCである。残り約1,995海里を17ノットで行けば5日弱なので、この予定と合う。

韓国大統領の投稿にあった「ロシア北極海を出るのは9月10日」とは、なお二日ほどの差がある。NSR水域は今日すでに抜け、ロシア水域全体を出るのは8日前後と見える。船社が余裕を置いた日程か、別の基準によるものだろう。それはそれでよい。

十六日
釜山新港(Busan New Port)を出て十六日、船は八つの海を渡った。東海(日本海/East Sea, Sea of Japan)に始まり、北太平洋、ベーリング海(Bering Sea)、チュクチ海、東シベリア海、ラプテフ海、カラ海、そして今日のバレンツ海である。氷が最も遅くまで残るというヴィリキツキー海峡(Vilkitsky Strait)にも、氷が最も厚いというカラ海北部にも、浮氷の一片もなかった。

今日の午後に岬を回るだろうと昨日書き、今日そのとおりになった。家で画面を見ているだけの人間にできるのはこのくらいだ。それでも、この船が十六日間どこにいたかは、いま時間単位で残っている。

次はノールカップ。



位置と速力は衛星AIS航跡(9月6日12:23 UTCまで)と商用の航海追跡データ、海域名と境界は国際水路機関(IHO)基準による。ジェラニヤ岬の通過時刻は航跡から補間した値で、±10分程度の誤差がある。詳細な数値は別途の研究資料として残す。

文・整理 孫慶齡(Son Kyong Ryong)