予定から外れた休暇
富の里の鼎岩(ソッパウィ)と、闍崛山(チャグルサン)のトッケビの印で作ったお守り
最近、娘は欲しいものがめっきり増えた。私たちの世代に比べれば不足を知らずに育った世代である上に、一人娘で何不自由なく育ててしまったせいだろうか。そのあたりを少し引き締めようとしていた矢先だった。だからだろうか。
娘が突然、慶尚南道・宜寧郡(ウィリョングン)の「富の里」にどうしても行きたいと言い出した。
道中は娘のほうが私に説明をしてくれた。テレビで覚えた知識で、なぜ宜寧郡が富の里なのかを一つひとつ教えてくれるのだ。そうして言うには、「ママ、宝くじ一等当たったらいいのに」。
そして富の里の象徴である鼎岩(ソッパウィ)と、闍崛山のトッケビ「ソェモギ」の話をモチーフにした休養林に行ってきた。
そこで名刺にスタンプを押した。表には鼎岩の印。訪れた証でもあり、鼎岩が富の里と富豪公園の産みの親であり名堂(風水でいう吉地)だというので、財運と良い気を受けたいという思いだった。裏には闍崛山のトッケビの印。
実のところ、こうしたスタンプ文化は最近生まれたものだ。郡庁の地域マーケティングと、インスタグラムのようなSNSに乗って定着した。
けれど風水的であろうとなかろうと、広くもない一つの郡から同じ時代に大富豪たちが出て、韓国の大企業の産みの親となった土地の気を受けたいという気持ちは、どの国へ行っても通じるのではないだろうか。
昔、祖母や先祖の世代にも、金持ちの家の匙をもらってくると裕福になるという言い伝えがあった。形がどうであれ、その心が向かう先は昔も今も同じだ。
ふと、ハンドバッグを開けた。日本の旅で頂いた名刺、緊急連絡先として入れたまま、まだ抜き出していない名刺がそのまま入っていた。
お守りになってくれる名刺が、そうして鞄の中にあったのだ。私はその名刺の表にも裏にも、一つずつ押しておいた。富の里の気と加護が、あの方々にも届きますようにという思いで。
写真を撮り終えて宿に戻る、午後四時ごろだった。娘が先に窓の外を指さした。空に虹がかかっていた。「ママ、あれ見て。宝くじ当たるよ」。












