先月 (2026年2月) 28日、アメリカはイランを攻撃し戦争を開始しましたが、正直、驚きました。

今回のイランへの軍事攻撃の理由は複数あると思いますが、見落とされている視点があると思いますので記事にしました。

 

アメリカは昨年 (2025年) 6月にもイランの核濃縮施設を爆撃していますが、真相は、イスラエルがイランを攻撃する口実を奪ったのです。イスラエルの大規模な軍事攻撃からイランをかばったことになります。戦争嫌いのトランプ大統領らしい判断と言えます。しかし、トランプ大統領は元々が超一流のビジネスマンです。何か裏取引があったと考えるべきです。このとき、もちかけた取り引きは何か?

 

アメリカの最重要国益

アメリカ (正確にはアメリカを中心とする多国籍軍) は2003年3月にイラクを攻撃し、サダム・フセイン政権を倒しました。このときの戦争の口実は、「イラクが大量破壊兵器を保有している」でしたが、真の理由は違います。
サダム・フセインが原油の決済通貨をUSドルからユーロに替えたからです。それが中東の産油国全体に広がるのを怖れたアメリカがサダム・フセイン政権を滅ぼしたのです。

 

USドルは国際決済基軸通貨

アメリカの国益の核心はUSドルが国際間取引における決済基軸通貨であり続けることです。

USドルが国際間取引における決済基軸通貨である限り、各国の中央銀行や輸出入を行う企業はアメリカ国債を購入します。

アメリカ政府は財政赤字になっても、この国債の発行によって補填できるわけです。USドルが決済基軸通貨である限り、アメリカ政府にとっては、財政赤字になろうが「そんなの関係ねぇ」なのです。

 

話を戻しますが、イランは原油の決済通貨の脱ドル化を進めていました。

トランプ大統領は、昨年6月のイラン攻撃の際に、脱ドル化をこれ以上進めるのを止めるよう持ちかけていた可能性が高いと思います。イラン政府も、この取り引きを受け入れたふりをしたのでしょう。

しかし、実際はこの動きを止めなかった。

アメリカにとって、イランが核ミサイルを完成させることは脅威となりますので、核ミサイルを完成させる直前のこのタイミングに合わせてイランに戦争をしかけたのだろうと思います。

主たる理由は、イランの核ミサイル完成阻止だけではなく、脱ドル化を進める他国への牽制の意味も含めて、「イランの脱ドル化の動きを止める」が半分くらいあるのではないかと推測しています。

USドルの決済基軸通貨の地位を脅かすと、米軍が圧勝できる場合は確実に軍事攻撃を受ける。影響力のある個人であれば確実に暗殺されると言えるでしょう。

 

イランの脱ドルの動き

イランが具体的にどのような動きをしていたのか、列挙します。

 

1. 中国との「人民元」決済と物物交換


イラン産原油の最大の買い手である中国とは、すでに米ドルを介さない決済が定着。

•    人民元での支払い: 中国の独立系製油所(通称「ティーポット」)などは、すでに人民元で決済している。
•    クローズドな決済システム: 「Chuxin(初心)」といった独自の金融メカニズムや、アメリカ国内での口座凍結の影響を受けにくい小規模銀行を通じて、中国国内で決済を完結させている。
•    インフラとの交換(バーター): 現金の代わりに、中国がイランのインフラ整備(地下鉄や石油施設など)を請け負う形で「原油とインフラ」を交換する物物交換(バーター貿易)も盛ん。

 

2. ロシアとの「現地通貨」決済(ルーブル・リアル)

ウクライナ侵攻後に制裁を受けたロシアと急接近しており、両国間の貿易は劇的に変化している。
•    決済の80%が現地通貨: 2025年末時点の報告では、イランとロシアの貿易の80%以上がルーブルやリアル(イラン通貨)で行われている。
•    銀行システムの接続: ロシア版SWIFTである「SPFS」と、イランの決済システム「SEPAM」が直接接続され、欧米主導の国際金融網を介さずに送金が可能になっている。

 

3. BRICSを通じた多極化の推進

2024年にイランが正式加入したBRICSの枠組みも大きな要因。

BRICS Payなどの検討: 加盟国間での現地通貨決済を推奨しており、イランはサウジアラビアやUAEといった他の産油国とともに、ドルに依存しない新しい決済プラットフォーム(BRICS Clearなど)の構築に意欲を見せている。

 


特に、3.の動きはアメリカにとって脅威でしょうね。

 

ブラジル/ロシア/インド/中国/南アフリカ/エジプト(2024年加盟)/
イラン(2024年加盟)/サウジアラビア(2024年加盟)/アラブ首長国連邦(UAE)(2024年加盟)/エチオピア(2024年加盟)/インドネシア(2025年加盟)

 

現時点 (2026年3月20日) でのBRICS加盟国は上記のとおりですが、エジプト,イラン,サウジアラビア,UAEは産油国です。(インドネシアは産油国ではありますが精製能力が低く、輸入も行っています。)

産油国全体にこの動きが広がった場合、USドルは決済基軸通貨の地位を失ってしまいます。

そうなれば、アメリカは単なる慢性的な財政赤字国家になってしまいます。
ドルが暴落する可能性もあるでしょう。

 

脱ドル化の日本への影響

この脱ドル化の動きは、日本にも多大なダメージがあります。
2025年5月末時点で、日本国の米国債保有額は約1兆1350億ドル (約179兆円) で世界一です。(常に1位です。2026年の日本国の一般会計予算が122兆3,092億円ですから、如何に莫大な金額かわかると思います。)

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実は、これが大東亜戦争のアメリカの真の狙いだったのです。なぜ、アメリカは資源のない日本を開戦せざるを得ない状況にまで追い詰めたのか?

アメリカは日本人の勤勉性に目を付け、日本は、将来、アメリカの金ヅルになると考えたのです。(実際、そうなっていますよね。)

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脱ドル化が進んだ場合、これが、あまり必要のない資産となり、極論すれば紙クズ化します。ドル安となるでしょうから、名目上の資産価値も目減りします。
さらに人民元などが決済基軸通貨となった場合、新たに外貨準備通貨として購入しなければならなくなります。

このように、

「アメリカの国益を守るために起こした戦争だから、日本は関知しない!」と単純には言い切れないことが頭の痛いところです。

 

しかし、私は、アメリカの要請に応えて自衛隊をホルムズ海峡に派遣することには反対です。

シリアは反日国ではありません。個別外交交渉の余地は十分に残っています。
アメリカ追従からの脱却のキッカケにできる大きなチャンスかもしれないのですが、高市政権は、そんなことは微塵も考えていないでしょう。

 

 

きょうはここまでです。