Thunderous (14) MV[2]:音楽のビジュアライズと舞台芸術 | SKZの音楽性を讃えるSound Mosaic

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Stray Kidsの音楽性をこよなく讃えるブログです。主に2020年以降のアルバムからランダムにMVを取り上げて深掘りしていきます。更新は週3回程度のスローブログ。読んでくださってありがとうございます。

 

雷鳴に打たれたかのように、崩れ落ちる覆面の人々


ここまでがVerse1、まるで歴史ドラマの始まりのようです。

 

と前回書き終えました。

ここで、音楽のビジュアライズVisualize(視覚化)についてお話したいと思います。

 

むつかしそうな単語使っちゃいましたが、ここでいうビジュアライズは、本来目には見えない音、それを聴くことによって、頭の中に視覚情報が浮かぶ、あるいは描く、という意味です。

 

 

視覚情報の内容は、映画のように一貫性のあるものではなく、もしかしたら色や形の連続、パワーのイメージ、あるときは風に舞うリボン、または水が流れる様子や閃光などなど、多種多様な抽象的な映像、あるいはもっと具体的に、懐かしい風景や人々、理想郷や外国の街角なども浮かぶかもしれません。

 

逆に、例えば子供のピアノ指導のとき、「ここは女の子が機嫌よくお散歩しているところね~」「お日様が出てきてあたたかいね~」と情景が浮かぶようにちょっとだけ水を向けると、とたんに顔つきが変わり一生懸命になって、音楽の訴求力が上がります。

 

面白いですね。

形ないものから形を連想できる。

音は見えないのに、聴けば「なにかが見える」気がする。

情景を思い浮かべると、表現が変わる。

 

音楽を聴いて踊りだしたくなるのは、まさにこのような五感の交差点があるからでしょう。

 

 

踊り出したくなる=体で表現する音楽。それを精密にデザインしたものがコレオグラフィ。音と歌詞とコレオを使ったストーリーを映像として見せてくれるのがMV. 

 

しかしこれらのコレオやMVは、必ずしも私たちが初めて音楽だけを聴いたときに頭の中に浮かぶ絵とは違うかもしれません、というか違うのが当然でしょう。

 

私はThunderousを最初に聴いたのはMVでしたから、自分の中にどんな絵が浮かぶかにはあまり考えが及びませんでした。しかし、エアポッドつけて音楽だけを聞く場合には、音情報だけに浸ることができます。

 

SKZ作品はヘビロテで視聴していますから、どうしてもコレオやMVのイメージが優勢になりますが、それでも音だけを聞けば、例えばThunderousのイントロの「ファードー」では

ブルーグレイの空に重い雲が一斉に流れる様子が浮かびました。

 

大地には短い草が生えていてどこまでも続く広い場所。そこにChangbinの撥音満載な強いラップが入ってきたときには、草は木になり大地には石を敷き詰めた道が広がりました。

 

時代設定などはあいまいですが、音とともに発展する脳内イメージがたしかにあります。

 

これは、小説を読むと、すべてが映像化されて次第に脳内映画ができあがるのと似ていますね。そのイメージが強いから、映画化されたものを観るとびっくりしたりがっかりしたり。自分と映像のプロの「解釈」の違いをまざまざと感じます。

 

 

コレオもMVもまさにそうで、「この音楽からこういうコレオでこういう表現なんだ!」「この音楽とこのコレオでこういうストーリー、こういう衣装、こういうメッセージのMVなんだ!」と驚くことばかり!!まさに「解釈」のプロの仕事を見せつけられる思いです。

 

 

ところで、この「音楽の解釈」という脳内作業、それは、クラシック音楽の楽しみのコアです。いつの時代の曲も、映像やコレオがついていませんから脳内イメージを自由に広げることができます。

 

クラシックって自由に脳内イメージを広げて楽しむ音楽ということがわかると、結構なんでも、例えば難解な音楽と思われがちな現代音楽だって、抽象画を自由に脳内で描くことができるし、踊りの音楽であるワルツなんて、人間が踊らずにいろんなモノが自由に踊る風景を脳内に見ることができるし、全く自由で楽しいものなんですね。

 

 

だから、というべきか、私は、ディズニーのファンタジア2000は、逆に好きではありませんでした。もう四半世紀も前の映画です。音楽とアニメをあわせるといった、それまでもたくさんあったミュージック・アニメ的な手法ではなく、あくまで音のエネルギー・パワーを映像化したもの。その意味では、新しく画期的なものだったと思います。

 

しかし、まるで誰かの脳内イメージを覗いているような感じ、わたしにはその抵抗とソウジャナイ感があって、全く入り込めませんでした。

 

 

一方、そういった「自由に想像を広げられる音楽」ではないクラシック音楽もあります。

 

それはバレエ、オペラ、ミュージカルなどの舞台芸術です。音楽と視覚情報が一体化している芸術なので、総合芸術ともいわれます。オーケストラ、声楽、芝居、建築物、背景、衣装、ライティング、大道具小道具、など、すべてが総合された芸術ということですね。

 

 

それぞれがプロの仕事、プロの舞台ですから、圧巻も圧巻。圧倒されてどっぷり浸かって楽しむことができます。贅沢させていただいてありがとうございますという感謝の気持ちでいっぱいになります。

 

激しいコレオつきのSKZのステージや、完全にデザインされたMVはこのカテゴリーです。まさに多くの人の努力が結集された総合芸術。こんなに完成度の高いコレオ、綿密に計画されたMVを楽しませてくれて、私たちが思いもよらない展開や映像を創造してくれてありがとうございますという感謝の気持ちでいっぱいになります。

 

もうひとつの楽しみとして、耳のみで聴くSKZの音楽から、自由に発想を広げることもできます。SKZに出会えて幸せだなあという思いで、MVの続きを書いていきます!