半世紀後の抜栓 | The world of imagination

半世紀後の抜栓

お盆に、

 

シャトー・ラフィットの1970年を家飲みしました。

ソムリエールさんのご両親がされていた酒屋さんがご高齢で終業ということで、ワインセラーお値打ち全放出に駆けつけて私も6本ほど買った、そのうちの1本。

 

この、1970年自体は、ラフィットだけがポイヤックで否定的な評価になっていて、

マイケル・ブロードベントも、2007年に発行のこの本で、既にピーク終えていると書いているのですが、どんな一本でも大切な体験として楽しみます。言ってしまうとサイコーの1本でしたよ!

液面はハイショルダーとミドルショルダーの間位で良好。

半世紀前でリコルクもされてないの確実なので(なぜなら1980年代にこのセラーにすでに来ているから)、抜栓がまず難関だが、このように最後の5mmはあぶない。。

うおお!ここまであげただけでぶわっと、凄いチャーミングなイチゴ香が!

が。これは仕方なかろう!

原形はとどめているので良しとして、このあと木工ボンドで接着して保管しますた。

おお!色合いも健康です!なんか、オトクでラッキーだ!香ろう。。。おおお。。。

いい感じで完成したうえで、一切、劣化傾向、下がり傾向、マディラちっく無し!

久々に、リーデルのソムリエシリーズのでかいボルドーグラスで行ってます。

あ~、完成したポイヤックの厳密な厳粛な香りだ。。マルゴーやムートンとかとは別世界。。非常にきれいで、もはや重たくはなく、にもかかわらずラフィットに必要な要素は全部あるぞ。。。
54年目の目覚めとしては、オフヴィンテージなのに54年目としては、最高以上のあたりだろう。やはり、ワインは一期一会だ!偉大な作り手は、評論家がネガティブに言っても最後はつじつまを合わせるのだ。。

やっと最初の一口へ。。。(抜栓してずっと香っていたからもう15分経った)
あー、飲む寸前に全くのトリュフ香来た。そして、目を閉じて飲むと、例にっよて、ブルの上級と同じ結論になっとる。。。
ヴォーヌロマネの上級のかなり熟成した後の味わいと、一緒に到達しとる。。。
もう、カベルネでもメルロでもフランでもプティヴェルドでもない。。むしろピノに近い。。。炭火や薬草の分はボルドー特にポイヤックだが、その向こうの広いチャーミングな香りは、もう、良いものは最後には全て神の一つの世界になるのだということの体験を、、、また一回、体験したのであった。。。

ああ、なんてなめらかで、邪魔をせず、そのうえで五感を包み込んでくれるのだろう。。。いや、とにかく、やはり、酸が透き通っていて強靭なのだ!これがすべての基礎だろう。

2杯目。。むしろより香りが立ってくる。。。ヘタるとかの気配全くない。。。
ああ、口の中でもドライ感全くなく、ここちよくシルキーに?ベルベットのように?っていう言い回しが当たっているかのような心地良さだ。
あ~、チャーミングで美味しいなぁ。。
現代でも、もはや、ヴィンテージチャートで低めの評価の年の方が古典的でチャーミングな味わいの者が多くなっていて逆張りだ。
最上級の作り手だと、それでよいのかもしれない。

とにかく味わいも香りも透き通っていてそこが一番素晴らしい。。。もう、僕がラフィットをボトルで飲むのは人生でこれが最後だろうが、
安く買えたと思ったら評価低い年で、しかし結果、逆転劇で、これ以上を求めるのは野暮だろう。

ただ、こういうのを飲むと、ブルとボルドーの頂上の、それぞれの熟成の果てを同時に飲みたいとは、思う。
いつか、自前でやってみるか(75超えたら独身男性としては平均寿命を10年も超えているからもう貯金はあまり要らないからね)
と、共に、ラフィットは、オフヴィンでも、半世紀掛かるのねwwwww

45分、、キタ。。。二段階目の熟成香の立ち上がりだ。。。芳醇な芳香だ。。。
これがキタということは、へたるのではなくこれから数時間のピークになるということだ。。。
そしてなんと、何度でも言いたいが、チャーミングなのだろう。。。重みが全くないのにコンプレキシティたっぷり。。。
1時間。注ぐと、うおぉっ、妖艶!キタなー!え~、ここまで正しくひらいてくれるのかいな。ワイン煮込みの旨いジビエの味わい。。かつ、透き通ったアロマが酸と共に、全く健康な。。。
 

1時間25分、あ~、きれいなコニャックのような香りが。。。あ~、ここから、ピークの旨い旨いがず~っと続く~~

もうすぐ2時間、、、完成された旨味が安定して進んでいる~~
まったくこのまろやかさは落ちてこない旨い
2時間半。そろそろ、澱に近くなってきた。美味い、ずっとうまい。。。よかった。。。

完飲。。。。

 

これでもやっと、ラフィットを自前でボトルで完飲は、生涯4本。

まあ、一般のサラリーマンとしては、ラフィットはもうこれで充分だろ。

 

  ★

 

近所のトラットリアの開店の翌年位にハタチで入って、ずっと頑張ってきた若い方が、東京で職が決ったので、この日が最後の訪問になった。彼女はベジタリアンなのでお土産選択がむつかしかったが、ラ・メゾン・ド・ショコラのラインナップに、ビーガン用のガナッシュがあったので、これをお持たせで渡した。

すると(まだ他のお客さん来る前)彼女ぽろぽろ涙出されて、しかし気丈に持ち直して、営業開始。

ボトルワインは、日本ではほぼ見られないトスカーナのメルローの2010年。十分美味いがエラク安い。

アンティパストミスト。

赤がするする飲めるのでもうここでランゲの白のボトルも投入。

シェフは本場ローマのカルボナーラを作るため、円安のこのご時世、グワンチャーレを、なんと、自作されたが、この日のプリモとして生ハムとリゾットを選んだ僕に、リゾットのカルボナーラという構造にしてくれた!!

うますぎ!!!!グアンチャーレもたっぷり中に!

BBQ的な骨付きチャコールは量が多すぎて半分お持ち帰り!

最後、お別れのお話もして。。

お手製のフィナンシェをもらって、「ほっといても頑張るだろうから、むしろ気持ちを休めてくださいね」と言って、TAXIで帰りました。

高い家賃と厳しい競争の東京の中で、心身の健康を保って働いていることを祈る。

 

  ★

 

先週買った雑誌。

ヤマケイは、平出さん中島さんの件が既に載っていたから、久々に買った。中身は映しませんので、興味ある方は、ぜひ、買って読んでいただければ。

ただ、一ページだけでした。。。ヤマケイは、登山家の雑誌ではなく山登りする一般人の為の雑誌だから、そうなるのか。

料理人もそうだ。

あのベルナール・ロワゾーさんが、ミシュランの三ツ星から陥落したと勘違いしてショックで自殺した時の追悼は、雑誌の料理王国で2ページだけだった。

下記の、内藤さんの追悼では24ページあり、料理の世界では例外的だ。

(私は過去、名古屋の八事にあった「石蕗の舎」で二回サービス受けたことあるが、彼の経歴にはいつも記載がなかったようだ(苦笑))

 

私は、人文系の書籍をよく読んできた者なので、重要な方が亡くなったら、数十ページの追悼特集が組まれ、後年、一冊全部その人の全作品を回顧するような総特集が組まれるものだという認識がある。

下記の例は、

左:作家の中上健次さんが亡くなってすぐの、緊急追悼特集号、96ページある。

右:江戸文化研究家で漫画家の杉浦日向子さんの死後3年での、一冊全特集号。

と、例を出すために本棚からこれらを引っ張ってきたところで、、、

杉浦さんは僕が学生の頃にすでに雑誌ガロで江戸漫画を出されていて(あとまあ可愛いのもあって)ファンだったのだが、40台で亡くなられて、今も思い出してもなんだか泣きそうである。

 

 

 

 

 

今日は緊縮財政を守るため、近所飲みオンリー。

9/01に、フォーシーズンス丸の内に入っている「セザン」の予約電話(*)しようと思っていたが、仕事の心配事がちょうどハマったため、次の機会の10/01を狙う。。。(と言うことは行けるのは年明け。)

(*:一人客は、OMAKASEサイトでの予約は不可能で、電話のみで予約可能)