作品:再会と希望
2001年に描いた作品。エンジニアとしての仕事も休日出勤も多かった
中で、描ききった。近未来SFの設定。暗い内容だけど、エンターテイメントに
なるように設定。
阪神大震災で、大火災の中、自分をかばって死んだ両親のことで、自責の
念で心を閉ざした、当時小学校に上がったばかりの少年が主人公。
2001年、航空力学のおじいちゃんが国際宇宙ステーション(ISS)で、
太陽黒点の11年周期の電磁波異常バーストの影響で遭難状態になる。
それを救うためには、両親との暖かな日々の中で自然に遊びながら
憶えていった少年、今小学校を卒業しようとしている少年の記憶、
特殊な手動航行コードが必要で、彼自身が、史上、初の少年宇宙
飛行士に指名されるのだった。しかし彼はすべてに自信がなく、
おじいちゃんを救うプロジェクトを最初は拒む。しかし・・・
で、上は、すべてが終わり、少年の乗ったシャトルが、安定航行を回復した
ISSとドッキングし、無重力空間で、少年とおじいちゃんとが抱き合うシーン。
私は、トーン・ワーク(スクリーントーンという、模様が印刷されたビニールを
貼ったり削ったりしてグレーの諧調や模様を作る作業)も好きですが、
純粋なペン画の作業も好きでした。
おじいちゃんと少年の表情を描く瞬間、特に眉間、そして、お互いをいつくしむ
手の力強い表現を得る瞬間・・・これらは、まあ、集中して描くので休日は
この1ページで全部つぶれるし(ペン・ワークだけで)、手はもう腱鞘炎の症状を
軽く呈するしで大変ですが、・・・至福のとき、なのです・・・。
20台の中盤に、自分の創作はすべて、喪失とその悲しみからの快復、を
テーマにしていると気づいて愕然としたことがあります。
私はプロにはなれなかったけれど、それでも、何故、休日を全部潰して
描き続けたのか、そこにおそらく理由があり・・・それはまたいつか。
◇ ◇ ◇
ひとりも、わるくない。自分がここまで独りな理由が、ちょっとわかった気が
する、そういう体験が、あった。
・・・明らかに私を受け入れてくれているのに、必要とさえしてくれている
のに、どうして私は上手くその次に進むタイミングを自分から逃してしまう
のか。。。午前三時半に。
ひとりも、わるくはない。
ブライアン・イーノの、「アンビエントⅡ」を聞きながら。
特にその一曲目、
「ファースト・ライト」
私の定義では、史上、もっとも悲しい音楽。そして、もっとも、優しい音楽。
ひとりも、わるくは、ない、
そして、よくも、ない。
そして、
ただ、時は
流れる。
今度は、CGで、美しい映像を描いてみようと、思います。
