「拾う神」
自らを神格化しても許されるなら、私は「拾う神」だ。鶏小屋はほとんど廃材で造ったし、トカラヤギのルルちゃんも番犬シンバも、手放したいというご家庭から無償でいただいた。私は人が手放したいと思っている物に手を差し伸べ、拾うのが得意なのかもしれない。
いつも私をバックアップしてくださる養鶏仲間のおじいちゃんから、「今年ももらいに行くぞ〜」とお声がけがあり、今回は廃菌床を広いに参る。
集合は朝8時に某大型スーパーの駐車場。一つの目的に10台近い軽トラックがたむろし、イケイケの高齢者が集っているのを見ると、今から令和の百姓一揆でも起きるんかいなとすら思えた。
そこから連なって走ること3分。現場に着いた。
大の大人が汗をブルブルかきながら、皆で協力して順番に皆のトラックに廃菌床を積み込む作業に没頭した。
一見単純作業に思えるが、「少しでもラクしたい」「一輪車での往復を減らしたい」、その向上心が、一輪車にどれだけ多くの廃菌床を積み込めるかの創意工夫合戦を起こした。
一輪車の一段目でできるだけ両ウィングに菌床を伸ばし、その上に縦→横→縦・・・の順で積み上げていく。レンガ積みの応用だ。楽しい。こちらの方が百姓一揆よりもポジティブで楽しそうだ。
我々は完全にコツを掴んだ。廃菌床を一輪車で運ばせたら右に出るものはいない。
そう確信した頃、作業が完了した。次にこの種目に出場するのは1年後。きっとこのコツは完全に忘れ去られ、また一からの積み上げとなる。
皆で健闘を讃え合い、アフターのお茶もせず、割とドライに解散した。
そう言えば、自己紹介の場もなかったな。
名も知らぬ方も、また会いましょう、1年後に。
それまで皆さん、元気に生きていてね。
そうそう、お土産に椎茸をもらった。
廃菌床とは言え、まだ少しは生えていたのだ。
往生際が悪くてよろしい。
今夜のBBQの一品にしよう。
廃菌床は菌ちゃん農法的ヒューゲルカルチャーで糸状菌のエサに
村に持って帰ってきた。
割と多い。

ところで、「なんでもう椎茸が出ないような木屑のブロックをもらってくるの?」と思われる方がいらっしゃるだろうから、今更ながらお伝えすると、これは貴重な資源なのだ。
まず、廃菌床とは言え、まだかすかに椎茸菌が残っているから、稀に廃菌床から椎茸が出ることもある。この夏場の気温ではほぼ無理だろうが、ひとまず木陰に置いてみた。今後、雨が多く降れば椎茸が生えて来るかもしれない。
まぁそこにはハナから期待していないが、こうして置いておくと、カブトムシが採れる。菌床の元は落葉広葉樹。それをチップにして固め、菌を植え込んだ塊が菌床。だから廃菌床を野晒しにすればそのうち朽ち、カブトムシが卵を産みつける。カブトムシの幼虫は、朽ちた落葉広葉樹をエサにする自然界の分解者だから、カブトムシにとっちゃここに産みつけるのが好都合なのだ。
実際に昨年いただいた菌床を野晒しにしたところ、今年の冬にはこんなサイズの幼虫がゴロゴロ出てきた。生き物を売る気になれないから売りはしないが、農家民宿にやってくる子どもたちに分け与えることはできるだろう。
と言うのも、「菌ちゃん農法的ヒューゲルカルチャー」の炭素資材としてピッタリだからだ。落葉広葉樹の分解者は、カブトムシだけではない。菌ちゃん農法で大活躍の糸状菌もまた、落葉広葉樹の分解者なのだ。今、夏野菜が植っているレイズドベッドには、この廃菌床が詰まっている(写真は3/14)。
先日うまいきゅうりを食べられたのは廃菌床のおかげ、と言っても過言ではない。トマト、はよ。

一方、同じ木でも針葉樹は抗菌性が高く、中心部分なんて微生物でも分解が難しい。だからレイズドベッドには入れない。我が村では基本的に、広葉樹は畑へ、針葉樹ま薪ストーブへと、適材適所に配置している(つもり)。
今年に入ってから、大小合わせて10個以上のレイズドベッドを作ってきた。夏野菜の元気さを見ても、この農法でそんな大きな間違いはないと感じている。この猛暑が過ぎた頃に取り掛かるレイズドベッド作りに、この廃菌床をふんだんに使うことにする。
次は何を拾うのか、神のみぞ知る。
知らんけど。






