湊かなえ「落日」読了 | ソンブーンのブログ

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2024年5月13日(月)

 

湊かなえは僕の好きな作家の一人です。今回の「落日」も読み進める程に事件の真相が見えてきて、ミステリー小説の醍醐味を十分に楽しむことが出来ました。

 

主人公の一人が事実と真実の違いを述べた次の言葉が印象的でした。

「この認識が合っているかわからないけど、実際に起きた事柄が事実、そこに感情が加わったものが真実だとわたしは認識している。裁判で公表されるのは事実のみでいいと思う」

 

2022年8月、ハルキ文庫。428ページ。

 

ストーリー(ウィキペディアより)

デビュー作で大きな賞を受賞した映画監督の長谷部香は、次回作として故郷の笹塚町で起きた殺人事件を題材に選んだ。15年前に引き篭もりの兄に刺殺された女子高生の立石沙羅に、香は深い思い入れがあった。幼い頃、厳しい母親の“お仕置き”でアパートのベランダに出された香は、隣室で同様に締め出された子供と仕切り越しに指先だけで慰めあった。それが殺された沙羅だと香は信じていたのだ。

脚本家として、同じ笹塚町出身の甲斐真尋(まひろ) に声をかける香。立石沙羅について取材すると、悪い話が続出した。美少女の沙羅は優秀な生徒に近づいては嘘をつき、引きずり降ろす事で快感を得るサイコパスだった。幼い頃にベランダで慰めあった相手は沙羅ではなく、兄の力輝斗(りきと)だったのだと思い至る香。力輝斗は妹殺害と同時に放火で両親を焼死させたとして死刑を求刑されていた。香が手紙を出しても「構うな」と、処刑を望む力輝斗。

真尋は取材の中で、15年前に交通事故で死んだ姉の千穂が力輝斗と交際していた事を知った。サイコパスな沙羅は兄を苦しめるために千穂をおびき出し、交通事故に合わせたのだ。それを知った力輝斗は妹を刺し殺した。火事と両親の焼死はアクシデントだったが、死を望む力輝斗は全ての罪を被って死刑囚となったのだった。力輝斗と面会した香は、幼い頃のベランダの思い出を力輝斗に話し、せめて仕切りガラス越しに指先を合わせた。