小説現代1月号 読了 | ソンブーンのブログ

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8月13日(木)

本号は、816ページで、ボリュームたっぷりでした。本号の特集は、「美味礼讃」と題して、食をめぐる小説、対談、随筆で、本当に面白かった。食が嫌いという人は少ないし、趣向を凝らした食は十分に小説等のテーマになりえますよね。とっても面白い特集だと感心しました。

まず冒頭の3人の大阪在住の作家達(黒川博行、朝井まかて、江弘毅)の対談からして興味深い。大阪人の食へのこだわりは半端ないですねー。黒川博行が、東京に出張の折には、「イカ焼き器」を土産にすると東京の編集者は大喜ぶするとの話に目が留まりました。大阪人は一家に一台たこ焼き器を持っているとの話は聞いたことがありますが、イカ焼き器まで家庭用が販売されているんですね。僕も欲しくなりました。

特集の中で、記憶に強く残った作品は次のものです。

中澤日菜子の「オオナベくん」 中年になった姉妹は、実家を出てからの長い間に、お互いに不信感を強く持つようになるが、実家の母が老人ホームに移るに当たり、実家の片づけに来て、ふと幼い日々に姉妹が仲が良かった頃の記憶を母が料理に使っていたオオナベを見て思い出すという話です。幼い頃の母の味はいつまでもその人の舌の記憶として残っているもんですよね。

吉村龍一の「暁光」  特殊な状況で食料を乏しい中、何の変哲もないインスタント・ラーメンが本当に美味に感じることがあります。空腹こそ、食のスタートですよね。

斎藤真琴の「人生美味礼讃」 美味しいものを食べる。それは幸せなことです。でもそれを超えるものは、食を準備してくれた人の真心・誠意を強く感じた時ですよね。

連載ものでは、次のものが面白かった。
岩井三四にの「銀の海に浮かぶ城」短期集中連載第一回 この作品は、設定そのものが僕の好みです。江戸幕府が誕生したばかりの頃、関ケ原で西軍についた小藩の武士は禄を失い、浪人となってしまう。その一人が主人公で今は商人となり、シャム(タイ)に出店までしている。そのシャムの支店を任せた友人が行方不明になり、彼の捜索にシャムまで出向くという話です。出だしから面白いと感じてしまいました。

中脇初枝の「世界の果てのこどもたち」第3回  この作品は終戦直後を舞台にした、壮大な人生ドラマです。主人公の10歳前後の少女の目を通した見た、混乱した状況の日本、中国が描写されています。生きることが如何に大変であるかが、よく書かれていると思いました。