訪問診療の依頼は

点滴の管理でした


食道がんが見つかった時には

手術はできず

抗がん剤治療をしてきました


初めて訪問診療した時には

点滴以前に

痛みの治療が必要でした


通過障害があり

喉の違和感や

食事した際の痛みは

かなり生活に支障をきたしていました


ご本人も奥様も

治療の話しか聞いていなかったので

ずっと治療のことだけ考えてきました


どう考えても

治療の副作用も強く出て

体力もなくなり

病状も進んでいました


いよいよ動けなくなり

身体中がむくみ

せん妄が出ても


まだ治療の話をしていました


私はご自宅で過ごすことを望むなら

まさにその時だと思いました


しかし

主治医は

毎日経過を見たいから入院するように



入院して9日

病院で旅立たれました


仕事も途中でした


ご自分がこの先どうなるか

わかっていたかもしれませんが

きちんと向き合うこともできず


ご家族は治療することだけを考えていたので

お別れになってしまい驚いています



治療に望みをもち

できる限りのことをするのはいい


でも

医師はわかっていたはず


ずっと治療してきたからこそ

そこにもしっかりと向き合ってほしい