どこで過ごすか

誰と過ごすか


どうやって生きたいか

どう逝きたいか


これらは

私が緩和ケアをしながら

常に問うていることです


病状が進む中

漠然としか考えられない今後を


患者さんが困らないように

すこしでも患者さんの希望が叶うように


道標のようなものになれれば良いなと思います


私が担当している施設に

緊急入居されてきた女性がいます


上行結腸がんで

肝転移があり、かなり腹水も貯留していて

疼痛がひどく苦しんでいるということでした


入居した施設を担当している

訪問診療クリニックが

医療用麻薬を扱っていないという理由で

急遽、転居となったそうです


のたうち回るような痛みがあったり

常時うなって、顔をしかめて寝ていたそうです


見ているご家族も辛かったと思います


看護師さんやケアスタッフの

細かいケアと

緩和ケアで

1時間後には落ち着きました


2週間経った今も

穏やかに過ごされています


当初何もしなくていい

とご家族からお話がありましたが


落ち着かれたこともあり

「何か少しでもらくになるなら

やれることがあったらやってほしい」と

お気持ちが変わったようです


当初提案した腹水ドレナージを

やることにしました


お腹の張りが減り

ものすごく楽になったと

少し笑顔が見られました


苦しいのは嫌!

誰もが思い

苦痛緩和だけはして欲しいと願います


医療用麻薬は

とても優秀な薬剤ですが


このかたの症状緩和に医療用麻薬を

使用したのは一度

それもどうしても必要というわけではなく

医療用麻薬の方がいいのか評価のために

使いました


結局

他の薬剤だけでも症状コントロールできており

それ以降使っていません


施設を変わるのはとても大変だったと思います


でも

変わってよかったと思います



これが“運任せ”みたいなところが

気に入りません

どこでも

だれでも

ある一定の基準の緩和ケアが

受けられるようになるべきだと


心から思います