患者さんの状態は徐々に悪化しています
レスパイト入院のつもりでしたが
奥様は介護する自信を無くしてしまい
退院は自宅ではなく施設を希望
ホスピスも含め複数検討しています
そして入所先も決まり
契約も終わっていました
奥様の気持ち
子供さん達の気持ち
何よりご本人の気持ち
それは単純ではありません
これまでの関係性も含め
とても複雑です
そこは時間をかけ
いろんなお話を伺ってきました
家に帰りたい
連れて帰りたい
家は無理
いろんな思いがあり
それぞれの思いも行ったり来たり
変化します
私は主治医として厳しい話をしました
具合が悪くなっています
来週のことがわからない状態です
今日、許可をとったので
お会いになってください
これが最後になってしまうかもしれません
説明しながら涙をこらえます
そこで
以前より自宅での介護
看取りを希望されている子供さんが
「連れて帰りたい
やっぱり連れて帰ろうや」
突然言い出しました
来ている方も各々に気持ちをぶちまけ
私たち医療者も現状と照らし合わせながら
みなさんの気持ちが一つになるよう
できる限り応えていきます
すると
すーっとまとまりました
2時間後には自宅へ
無理!と苦悶表情で言い切っていた奥様も
穏やかな笑顔で
「お父さんおかえり」
これ、お父さんが使ってたコップ
そういってストロー付きのマグで
お気に入りのソーダを飲ませてくれました
時間はかけましたが
ここ!と言う時を逃さないように
ここから先は
私たち在宅チームが全力でサポートします