面会制限があり
お部屋に入ることができるのは一日二人まで
状態が悪い時に付き添えるのは一人です


患者さんはあと数日から1週間と予測され
ご家族で相談して
娘さんが付き添うことになりました
予定日までひと月の妊婦さんです



苦しい
痛い
なんとかして

そう言い続けるお母さんの背中をさすり
娘さんは泣いています

薬の量が増えていますが
まったく効いていません


看護師さんからも

「こんなに薬を使っても効かない。
痛いのではなく不安で今の状態になっているのでは?ちゃんと説明をしないといけないのでは?」と言う意見が出始めました



(良くなったら治療できると思っている患者さんに)
「どうやって話したらいいでしょうかね?」
と看護師さんから質問されました

娘さんからも
「自分たち家族が聞いている話と
母が聞いている話が違うので
母はここでよくならないと治療できないと思っています。」

娘さんからお母さんに説明をしてほしいと希望がありました

私もそうすべきだと思います
本来、転院する前にその説明をしておくべきでしたが
主治医が
「良くなったら治療を再開します
頑張って元気になって!」 
と言ってしまったのですから

ここは緩和ケア医が話すしかない
私はそう思います



娘さんからは家族で過ごしたい
と希望がありました
せめて最期はみんなで一緒にいたいと

県外の方(患者さんの子どもさんたち)も
帰ってきているそうです


県外の方の面会は禁止されているので
退院して会うしかありません



側にいるひとたちが
それぞれに思いを持って患者さんに向き合います

退院するという選択肢がない患者さん
はやく退院しないと家族にも会えず
亡くなることになると焦る娘さんやスタッフ

関係ができていれば看護師さんが患者さんに話すこともできると思います
でも転院したばかりでは難しいと思います


やはり医師からが良いのかなあと
看護師さんたちもそれを望みました

でも医師からは
「眠らせるしか大人しくならないね」

また薬の増量の指示がでました


右を向いても左を向いてもつらくて
起き上がれないのに起きたい
とナースコールを押します

看護師さんはその都度お部屋に行き
身体の向きを変え
言葉をかけます


「これ以上薬をいったらある時を境に
意識が無くなり呼吸抑制がくる」
そう感じた看護師さんが
再度医師に確認しました

眠ってしまったら帰れませんよね
ちゃんと説明して
うちに帰るようにしたほうがよいのではありませんか?


側にいるひと皆が
患者さんの時間を止めたいと思いました