がんと共存している患者さん
がんによる支障なく生活されている方
そんな方々に緩和ケアが必要になったら
その時はすぐに受けられるように
緩和ケアを提供する側も
緩和ケアを受ける側も
互いにスムーズなやりとりができること
それが大切です
がんと診断されたら
全ての人が緩和ケア外来にかかることができます
しかし
実際には緩和ケアに届かない患者さんがたくさんいます
がんの治療中も
血圧などの薬は近所でもらっていることが多く
治療がひと段落すると
クリニックや診療所
近くの病院にかかる人が多いのです
治療担当医もそう勧めます
こうして
近所のかかりつけと治療病院に通院することになります
でも、必ずしも双方が連携しているわけではありません
薬をもらうだけの時間が繰り返されると
落ち着いていたがんのことが忘れられ
不調は全て「年のせい」と
調べる時には自分の専門分野中心なので
治療も的外れになってしまったり
なんとも悲惨な状況になり得るのです
ある女性は
骨粗鬆症と膝の痛みで近所の整形外科へ
肺がんでがん拠点病院へ
血圧は近所の内科へ
と3箇所に通院していました
肺がんの骨転移を見つけたのは
かかっていた内科のある病院にいた私です
首の痛みは整形外科の先生も取り合わず
肩こりじゃないの?
運動不足だよ・・と
経過観察となりました
内科受診の時にたまたま内科医が不在で
私が処方を頼まれお話を聞いたことがきっかけでした
「痛みがどんどん強くなっています
骨が脆いからと言われました」
なんとも辛そうでした
がん拠点病院とは治療を受けなくなった時点で
切れていて
患者さんは近くの整形を受診しました
もし整形の先生が
肺がんの患者さんであることや
痛みの性質などに着目していれば
すぐに検査したでしょう
疑わないから調べもしない
だから原因がわからないのです
内科受診してMRIを撮ったらすぐに骨転移が見つかりました
もう少し遅かったら脊髄損傷の危険がありました
緩和ケア医は少し離れたところから
全体を見ます
専門分野ごとの先生たちと協力すれば
いろんなことができると思います
双方にコミュニケーションをとり
患者さんのために相談しあえるようになるといいなあといつも思っています