癌と診断され
いろいろ検査し
治療方を提示され

考えた末に
治療(手術)を受けないことにした患者さんは


好きなことをして過ごしたい

入院はいや!

食事が摂れなくなっても胃瘻は造らない

息がしづらくなっても
気管切開はしない

そう
はっきりと意思表示しました


時間の経過とともに
腫瘍が口の中から首にかけて広がり
固形物は痛みのため摂取できないので
ペーストから液状のものを摂取していました

でも
大好きなビールは毎晩!
それがいちばんの楽しみでした


ご家族は手術を受けないことを決断した際
主治医から

腫瘍が大きくなると皮膚に穴があく
突然大出血する可能性が高い
窒息する危険がある
と説明を受け

毎日皮膚を観察しては
穴が開いていないことを確認し

夜は息が止まるのではないかと
心配で
怖くて
不安でたまらないと言います


ある日を境に大好きなビールを欲しがらなくなり
タバコを手にすることも無くなりました


ご家族は絶望に打ちひしがれ
「先生、らくにしてやって
終わらせてあげて」と泣き崩れます


確かに飲み食いができなくなり
徐々に衰弱する姿をみているのは辛いと思います

患者さん本人は痛み止めもよく効いて
うつらうつらしています

表情は常に穏やかで
トイレは自分で行けます

徐々にできることがなくなっていく中で
希望を持ち続けることは難しいと思います

でも
大切な人(患者さん)がそこにいる幸せを
忘れないで欲しいと思います


ご家族にも声をかけ続け
出来る限り支えます