緩和ケアに携わる前
介護施設の嘱託医をしていたときのことです

患者さん、利用者さんは
ほぼすべての方が何某か問題を抱えていて
うまく付き合いながら生活されていました

がんの方もいました



筋萎縮性側索硬化症(ALS)の方がデイサービスを利用されていました

徐々に麻痺が進行しましたが
デイサービスには楽しそうに通っていました

支えがないと歩けなくなり
やがて車椅子を使うようになりました

このあたりから急速に病状が進みました

やがて呼吸筋にも麻痺が生じて
自分では息をすることができなくなります

治る病気ではありません

何度も何度も話合いをして

〇〇さんは気管切開をしない
人工呼吸器を装着しない選択をしました

子供さんたちも〇〇さんの意志を尊重し
同意をされました

ある日を境に息苦しさが増し
緊急入院されました

再度お気持ちを確認しましたが
気管切開、呼吸器装着についての思いは変わりません

入院されてからは
呼吸苦を軽減する目的でモルヒネを使いました
そして
鎮静を行い
眠るように旅立たれました

いつの時も
どんな時も

何が起こるのか

何ができるかを話し

何をして欲しいのか

何をして欲しくないのかを話し合うべきです

死にたい
そう訴える患者さんの大半は

死にたいくらい辛い
その気持ちを表現しているに過ぎません

その辛さが少しでも緩和されれば

笑顔になり
目標をもって前進する人も多いのです