緩和ケア科へこられた時
これまでの経過を伺います
同時に紹介状(情報提供書)も拝見します
事前にファックスで第1弾をいただくことが多いので、その段階で熟読しています
さらに、患者さんや御家族の話と照らし合わせながら再度読み直しです


診断される前後のこと
検査の結果、診断、治療
治療経過を知ることはとても大切なことです


60代の女性
血液の癌で 抗がん剤治療開始
経過中、再発し薬剤変更
転移がみつかり薬剤変更
この頃から痛みが強くなります
この転移巣が患者さんの苦痛の原因です

大きくなっていく筋肉への転移が痛みを引き起こしています

治療は.......抗がん剤の変更

しかし転移巣は小さくならず
痛みは強くなる一方です

放射線治療の効果で一時的でしたが
転移巣が縮小しました

が、痛みはおさまりません

ここのあたりでやっと痛みどめが使われ始めています
ほんの少しだけ

何度も薬を変え繰り返される抗がん剤治療
白血球が減り、全身状態も悪くなっています
体中にいろんなことがおきています


その後も治療が続き
縮小していた転移巣が再び巨大化
肝機能も腎機能も造血機能も著しく低下

ここで(やっと)緩和ケアのお話です

当院への転院日、痛みの治療を開始し
夕方には穏やかな表情で
「痛みがきえました、本当にありがとう」
笑顔でおっしゃいました


おそらく初めは癌の治療を頑張っていた
「治る」ことを目指して

しかし
途中からは「痛みを抑える」ための治療になると、そう信じて頑張っておられたと思います

抗がん剤が効いて、腫瘍が小さくなり痛みが軽減することはありますが
そこにも「アセスメント・評価」が必要です
進行してくると
1部だけを見ていてはいけません
必ず全体の把握、評価が必要になります


なんのためにしているのか
何をしたいのか
私たち患者は常に考えていなければいけません

この方の治療は部活のようでした
がんばれ!
まだまだいける!
立つんだ!!
前を向け!

倒れるまでやってはいけません