大腸がんの手術を受け
ずっと検診を受けていた女性に
新たな大腸がんがみつかりました

手術から10年以上経過していたこと
毎月診察を受けていたこと
体調は悪くなかったこと

患者さんはなかなか受け入れができませんでした
もっと納得が行かなかったのはご主人です

しかし説明を受け
前を向いて進むことになりました

腫瘍部分を切除し
人工肛門を造ることになりました

手術の後患者さんはとても前向きでした
「もう大丈夫よね」

しかしカルテには
切除しきれていないと思われる
リンパ節に転移がある
遠隔転移の可能性がある
つまり予後は極めて不良

と書いてありました

「退院したらお店でてもいいかなあ」
「無理をしないようにしないとね」と
病室で明るく話をしている患者さんと
カルテの中の患者さんは別の人のようでした

主治医に確認し
受け持ちナースにも確認しましたが
「説明はした」と

残り時間があまりないのなら
少しでも早く退院し
好きなことができるようにしてあげたい

そう思いました

しかし、なかなか主治医から退院許可が出ません
何をするわけでもなく
「回復を待つ」名目での入院が続きました

ある日の検査で肝転移が判明しました

「抗がん剤をするしかないです。ほかに方法はありません!」

私は主治医の元へ走りました
「抗がん剤をしたら帰れません」

しかし「やる!」選択肢しかなく
投与翌日に意識が無くなり

それじゃあ緩和へ
の一言で緩和ケア病棟へ転棟となりました

医師にもわからないことはたくさんあり
予測できないこともあります

思った通りにならないこともたくさんあります

それでも考えられることを総動員して
患者さんと御家族が望む生き方ができるよう 
道しるべとならないといけません

ご主人は怒りに震えながら
最期まで耐えていました

「絶対に許さん」
それがご主人の最後のことばでした