昨日のブログにこのような質問をいただきました。

(本当は、昨日の記事は阪神淡路大震災の追悼記事で、自分にとって特別な日の更新であったため、記事とは全く関係ない上本来お受けしていない医療関係の質問を書き込まれたことにあまりいい気持ちはしなかったというのが正直なところです。が、書かれた方もお困りでしょうし、同じことで悩んでいる読者もいらっしゃるかと思い、取り上げました。例外的なことだと思ってください。)

本日ネットニュースでピル(ヤーズ)を服用した3人が血栓症を発症し死亡し、国が注意喚起を促しているということでした。
わたしも約1年以上前から服用しており、何度か血栓症の恐れがある注意事項が書かれた説明書を渡されたこともありました。恐らく、ピルを処方される時はお医者様とちゃんと話し合いをして、血圧をはかったりすると思うのですが、実際にどのような人々が血栓症というものに掛かりやすいのでしょうか?ピル使用後頭が痛くなったら止めてかかりつけの医師へ、と書いてあっても自分としては普通の頭痛だとおもって、市販薬で済ましてしまうこともあるのが事実です。
今後飲むかどうか迷っているのでお答えいただければ嬉しいです。



ヤーズについての報道は、こちらのようなものだと思います。


生理痛ピル、ヤーズ配合錠で3人死亡 厚労省が注意喚起
2014年1月17日20時57分 朝日新聞デジタル



 厚生労働省は17日、重い生理痛の治療薬として処方される低用量ピル「ヤーズ配合錠」(バイエル薬品)について、2010年11月の販売以降、副作用とみられる血栓症で3人が死亡したと発表した。利用者は延べ18万7千人にのぼり、バイエルに対し、添付文書に警告欄を設けて注意喚起するよう指示した。

 厚労省とバイエルの発表によると、最初に報告があったのは昨年6月。20代女性の脳に血栓ができ、薬を飲み始めて13日後に死亡した。2人目は死亡後に肺に血栓が見つかった10代前半女性で、今月には肺と足の血栓症による40代女性の死亡が報告された。

 20代女性と40代女性は足や頭の痛みで受診していたが、重くなるまで血栓症と診断されていなかったとみられる。症状は血栓ができた場所によって異なり、足や胸、頭の突然の痛み、舌のもつれ、視力障害などが現れる。早期の治療で重症化を防げるため、受診時にピルの服用を伝えるよう厚労省は呼びかけている。

 低用量ピルは生理痛の治療や避妊目的で利用者が増加。ピルは血栓が起こるリスクを3~5倍引き上げるとされ、厚労省によると、ヤーズ以外のピルでも04年以降、因果関係が不明なものも含め10人の死亡が報告されている。


低用量ピルは副作用の多い薬ではありませんが、まれと言って良い頻度で起こりえる副作用に血栓症があります。血管の中で血が固まってしまうもので、脚等にできやすく、それが血の流れに乗って肺までいくと肺塞栓症と言って呼吸ができなくなって最悪の場合死に至ることがあります。
これは肥満の人や妊婦などでもおこりやすく、喫煙や高年齢でもリスクが上がるため、ピルを処方する時には注意が必要で、場合によっては処方できません。
また、飲み始めてすぐの方が血栓症になりやすく、長い間飲み続けるとリスクは下がります。

しかし、今までに報告された、ヤーズを飲まれていて血栓症で亡くなられた方のうち、1人目と2人目の方は、20代と10代の方で、そこには当てはまりません。また、情報を集められる範囲内では、そのうちお一人は1年以上ピルを飲まれていたので、これも当てはまりません。

記事中には「のべ18万7千人」が飲んだとありますが、正確な数字は分かりません。その内3人が亡くなられたということが高い頻度であるとは言えませんが、産婦人科医の中で処方しづらくなったと考える医師も出てきています。

質問を書かれた方が何歳なのかがわからないので一般論にとどめますが(もしも真剣に相談されたいのであれば非常に重要な情報のはずです。身長体重とともに)、自分に血栓症のリスクファクターがあるかどうかも判断材料です。

当然、血栓症発症=死亡ではありません。迅速に診断を受けて治療が施されれば助かることも多いです。頭痛や脚の痛み等がおこったばあい、ピルを処方している産婦人科へ連絡しても、クリニックの場合は夜間だと連絡がつかなかったり、受診しても血栓症を診断するのに必要な検査(血液検査やCT、超音波検査など)をすぐに受けられないこともあります。疑わしい場合は専門である循環器内かを直接受診した方が安全だと私は考えます。(ピルによるものではありませんが、重篤な血栓症を総合病院で過去に何例も循環器内科医とともに診ているからです)

以上、内服されている方の参考となれば幸いです。

飲んだり飲まなかったり、というのはリスクが高まるので、中止するときはよく相談してください。