1978年に台湾を二ヶ月かけて一周した。

前年の1977年(昭和52年)のタイ・マレーシア旅では、ペナンを去る早朝まだ暗い中、アザーンが響く道をザックを背負って歩きながら「俺は生涯でもう一度海外へ来れるのだろうか」と真剣に考えていたのに・・・・。

77年は結局マニラ経由のPK(パキスタン航空)で行ったのだが「格安航空券」は本当に出始めたばかりの時で、当時そんな情報などどこにも無く、真剣に貨客船で行こうと、あちこちの船会社に電話して探したのだから、今から思えば笑い話だ。

今と違い、タイは英語が通じずタイ語もできずで苦労したけれど、78年の台湾ではまだ日本語がいたるところで通じ、とにかく旅が楽だった。 

気楽な旅で、新竹と言う小さな街でおじさん、おばさん、と仲良くなって長逗留したけれど、今では台湾のシリコンバレー!!と呼ばれている大都市になってしまっていて、まぁ40数年と言う年月を感じざるをえない。

何だか素朴で、若いのにのんびり温泉巡りなんてしたりして、初めはひと月で一周するつもりだったのに、反時計回りで南の高雄に着いた時にはビザ切れ寸前。

高雄警察で延長して余裕ができ、台東から蘭興島に渡りヤミ族の部落で生活したり・・・。

九州より小さな台湾に二ヶ月。

結婚してからも二人で何回も訪れたけれど、あの時の台湾とはもう何かが違っていた。

旅は早い内に行くのに限ると、歳を重ねてからしみじみ思う。