(続き)

 

母の商売がうまく行く。

 

それはもちろん喜ばしく

ありがたいことである。

 

父親もまた商売人として

成功していたが

 

別居した今、母は

経済的な自立を望んだのだ。

 

だがそれは母の不在が

増えると言うことにもなりうる。

 

(この前の投稿からの続きです。

読みたい方は

こちらから。)

 

その頃から

弟と私と祖母が

同じ部屋で眠るようになり

 

深夜に帰ってくる

叔母と母は

同じ部屋で休むことに

なった。

 

そして母が目覚める頃には

私たちはすでに幼稚園や学校に

行っていることになる。

 

だからもしかしたら

毎日顔を合わせて

いなかった可能性の方が高い。

 

そんな中母が

私たち姉弟とのコミュニケーションの

ツールとして選んだのが

 

「日記」

 

だった。

 

私たちは小学校

低学年の頃から

合皮の分厚い

原稿用紙でできた

日記帳を買い与えられ

 

それに毎日の出来事を

綴るように言われた。

 

低学年の頃のそれは

ほとんど

 

「今日、わたくしは、

まあちゃんと、自転車で

〜公園まで 遊びに行きました」

 

みたいな短い文章で終わった。

 

書くことに楽しみなど

なかった。

 

ただなんとなくだが

少しでも長く書いたほうが

良いのではないかと思い

必要もないのに

文章を長くしようとしていた

記憶は残っている。

 

毎日ではないが

母はそれを見て

何か返事の言葉を入れる。

 

交換日記的な

感じである。

 

だが残念ながら思い出せる限り

それが

母との温かな交流になった

覚えはない。

 

子供の私にとってそれは

課せられた宿題であり

やらなければ

叱られるまではいかないが

やるべきものであった。

 

だから当然のことながら

子供だからそれをサボる。

 

大人の今でもサボるけど。

 

(笑)

 

毎日書くはずの

日記は何日も

飛ばされ

 

母もまたそれを開き

一筆入れてくることも

減って行った。

 

そうして母は

私に新しい宿題を

出すことにした。

 

その同じ宿題を

弟に出したかどうかは

わからない。

 

それは、母が薦める

「詩」の本の中から

気にいったものを

 

書き写すと言う宿題だった。

 

日記を書かなかった日には

 

立原道造

中原中也

高村光太郎

 

ほか誰がいただろう。

思い出せない。

 

外国の詩人もいたはずだ。

 

それをただ縦書きの

原稿用紙でできた

分厚い日記帳に書き写す。

 

小学生の私が。

 

✨

 

汚れつちまつた悲しみに

今日も小雪の降りかかる

汚れつちまつた悲しみに

今日も風さへ吹きすぎる

 

汚れつちまつた悲しみは

たとへば狐の革裘

汚れつちまつた悲しみは

小雪のかかつてちぢこまる

 

中原中也

 

✨

 

などと高い筆圧の

マスをはみ出るくらい

大きな文字で書き写す。

 

この詩の意味など

これっぽっちも

わかることないままに。

 

それでも私は特に

この詩を好んでいた。

 

この詩の持つ

リズムに子供ながらに

魅せられていたらしい。

 

ただこの詩は

 

「汚れつちまつた」

 

と書いて実際は

 

「汚れっちまった」

 

と読むことを

当時は知らずにいた。

 

だから私はこの詩を一人

 

「よごれつちまった悲しみは」

 

と音読していたのだ。

 

意味もわからないままに。

 

なぜか「ちまつた」

の方の「つ」は

そのまま「ちまった」

と音読していたのは不思議である。

 

よごれつちまった悲しみ

 

つちまった悲しみ

 

それを小学生の自分は

どう捉えていたのだろう?

 

わからない。

 

ただ音とリズムが

好きだったのだ。

 

でも時々思い出すこの詩は

もしかしたら私が書く文章に

今も影響を与えているかも

知れないな、

 

なんて考えている。

 

(続く)

 

今日はここまでです。

 

もう一つのお土産のことや

なんやらを書こうと思ったのに

なんだか自叙伝みたいに

なって来たぞ。

 

まあいいや。

 

とにかく手が

キーボードを打つに任せる

時間を

 

なんとか毎日撮って

これがどこへ

行くかを見ていようかな

なんて思っている。

 

コメントくれている方々

本当にありがとう。

 

あなたの共感の言葉や

そこからイメージした

物語などをシェアしてくださるの

とてもうれしいよ。

 

それはまるで

世界中どこにいても

同じ子守唄を聴きながら

育った子供同士みたいで。

 

✨

 

最後に小学生の私が

その日記帳に書いた

 

「歌」

 

と言う名前の

謎の詩を

ちょっと恥ずかしいけれど

貼っておく。

 

小学生にしたって

全然ダメダメだし

センスない!

 

でも

かわいいよね。

 

あの頃の私。

 

歌が大好きだったんだね。

 

 

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