年越しは東京で

することになっていた。

 

例年通り母の家で

妹家族と一緒に

 

紅白を見ながら

フグ刺しやフグちりを

楽しむつもりでいた。

 

普段はテレビは

全く見ない私だが

 

大晦日はこの

世俗的で

ごく普通のことをするのが

楽しくてしかたないのだ。

 

母、妹夫妻、その

成人した甥っ子、姪っ子、

中学生の甥っ子。

 

ヒレ酒やシャンパンを

飲みながら

ワイワイやる。

 

年が明けた元旦には

母が作る

鳥とかつお節でだしを

とったお雑煮を

同じメンバーでいただく。

 

お餅は四角。

 

こんがり色がつく

くらいに焼いて

 

その上に

暑い出汁をかける。

 

お餅がブシューと言う

なんとも云えない音を出す。

 

ゆずを一切れ。

 

あとは三つ葉ね。

 

名前を書いた箸袋の前に

みなが座り

 

妹と母が腕を振るった

おせち料理をいただく。

 

一年でいちばんくらいに

お正月が好きだった。

 

年末のフグももちろんだけど

おせち料理とお雑煮が

メチャメチャ好きだ。

 

それをお正月の雰囲気の

中でいただくのは

格別だ。

 

みなでハサミで

チョキチョキ切って

作った身欠きニシンや

 

皮をむいて

出汁につけた数の子。

 

そして何より

大好きなのは

 

紅白のなますだ!

 

妹がうすーく

繊細に大量の

大根と人参を

切ってくれるから

 

出来上がるなます。

 

天然の玄米酢を

使って母が味付する。

 

あ〜ん。

 

(笑)

 

ちょうど今頃

みなが母の家に

集っていることだろう。

 

でもその大好きの

全てを投げ打ってでも

 

家族との団欒を

先延ばしにしても

 

私はどうしても沖縄へと

戻りたかった。

 

「帰ろう!」

 

それを身体が、

心が必要としていた。

 

思ったのは

前日だったが

 

母と連絡が取れず

午後3時前に

やっと話せて

 

沖縄に帰りたいと

伝えると

 

快く送り出して

くれた。

 

実は元々は

沖縄で年越しを

するはずだったのもあり

 

どっちみち今年

私がそこにいることは

そんなに期待されて

いなかったのだ。

 

そうして午後

5時の飛行機に乗った。

 

機内では

食事をすませると

ただただ爆睡した。

 

タクシーで

1時間ちょっと、

夜10時ごろ

部屋に到着。

 

ひと月近くも放置した

自分の部屋のドアを開けると

静けさが私を

向かえてくれた。

 

私の「物」で

いっぱいなのに

 

ただただ静かだった。

 

部屋を見回し

いくつかのもの

一つ一つの存在を

味わうように確かめる。

 

鼻から

大きく息を吸い込み

肩を上げたあと

 

「ふうっ」

 

と吐く。

 

それは意識して

そうしようとした

わけでなく

 

ただただ身体が

それをした。

 

それから心底

安心した。

 

「ただいま」

 

誰もいない部屋に向かって

言葉をかける。

 

私がいない間にも

ずっとここに存在して

私を待ってくれていた

この部屋に。

 

そして1人であること

徹底的に1人きりであることの

やさしさを満喫した。

 

私はタクシーの中で

書き上げたメルマガや

LINEの原稿を配信すると

 

紅白をつけることもせず

ソファに身体を預けて

1人を楽しんだ。

 

ここにある

静寂を楽しんだ。

 

ここは海から

歩いて1分だが、

 

波の音がすることは

滅多にない。

 

六本木の滞在では

部屋は静かな向きにあり

窓を閉めれば

それほど音がしないのだが

 

それでも

耳にはそれほどはっきりと

認識できない類の音が

たくさんして聞こえる。

 

それに人がたくさん

いる場所は

人の気がうるさい。

 

耳に残っていた

六本木の残音が

静寂によって少しづつ

消えて行く。

 

数時間部屋にいるだけで

耳の中、脳の中が

綺麗に掃除されていくような

気がする。

 

私はもう一つ

深呼吸をする。

 

する、と言ったが、

もう少し表現を事実に

近づけるとすると

 

深呼吸が起きる、

という感じだ。

 

それはため息とは

違う、

 

癒しの呼吸である。

 

「正解だった」

 

朝起きて

窓を開けて

空と海が見えた時

 

泣きそうになりながら

そう思った。

 

おせちもお雑煮もない

お正月。

 

一人きりのお正月。

 

それでもなんとも

云えずここにいることが

満足だった。

 

「ただいま」

 

今度はお家じゃなくて

自分に言ってみる。

 

懐かしい私が戻ってくる。

 

1人だからこそ味わえる

私だけの私が

戻ってくる。

 

そうして私は私に

返事をする

 

「お帰り」

 

と。

 

 
 

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