薄紫の絨毯を 愛でるあの日を 懐かしむ
叔母の家には池があって、
池の前には藤棚があって、
藤棚の下には陶器でできた椅子があって、
椅子に座りながら、ある日のことを思いだしている私がいて・・・・・
藤棚の下、椅子に座って思い出していたこと
見事な藤を見せたいと、
私を連れて行ってくれたあの日。
遠くまで来たのに、見事な藤は見られなくて、
大きくうねった木の周りには、うす紫色の絨毯ができていた。
連れてきてくれた人の気持ちを思うと
なんともやるせなくて・・・
でも
地面のうす紫色の絨毯は美しく
その人の想いは、私の心にやさしく響いた。
藤の花を見る度に、風薫るあの日を思い出す。
叔母宅にて