さて、前回の続きになります。
白川郷の早朝散歩に出かける前、お台所からトントントン・・・と包丁の音が聞こえてました。
朝ごはんの用意をされていたんですね。またまた懐かしく思い出したことがありました。
祖母の家に泊まりに行ったときも、台所からトントントン・・・同じ音。
「朝ごはんどうぞ~」とおばさんの声。
おばさんとは失礼かしら?女将さんですね。でも、女将さんとよりはおばさんがとても似合うので。いや、本当は、お母さんと言いたいぐらい。
泊り客は、私たち2人以外は、全員が外国人。
マレーシア、オーストラリア、ドイツの方々。合掌造りの中で「Good morning!!」です。
とっても美味しい!!
お米はよきちで作っているお米、お味噌も自家製、おばさんが心をこめて作った朝ごはんは、とにかく美味しい・・・・・
朴葉味噌、これが食べたかったのです。
以前、白川郷に泊まった時にも朴葉味噌をいただいて以来、大好きになったのです。
おばさんの手作り味噌、とにかく美味しい・・・・・
お名残り惜しいのですが、ここを去る時が来ました。
おばさんが、「夕ご飯も用意できなくて、ごめんね~。また来てくださいね。」
一晩だけだったけれど、お別れが寂しい・・・おばさんの笑顔を見に来たいと、心から思いました。
おばさん、ありがとう・・・・・
よきちを後にして,5年ぶりに再訪するカフェへと。
ひな
5年前のこと・・・・・
極寒の白川郷を歩き、たまたま見つけたカフェ。冷え切ってしまったので、温かいコーヒーが飲みたいと入店しました。ほぼ満席の店内には、たくさんのお客さん。
マスターがひとこと、「時間かかりますけれど、いいですか?」
コーヒーに時間がかかるといっても、それ程かかりませんよね。だから、もちろん大丈夫です、とお答えしました。たいへん困った表情をされていたような記憶・・・
丸眼鏡をかけたマスターはちょっと気難しい方という印象を、私も同行者も同じく持ったのでした。
店内は静かに流れるクラッシック音楽が流れ、コーヒーの香りが隅々にまで漂い、冷えた身体はあたたかいコーヒーで温まり・・・全てが満ち足りた空間だったのは、しっかりと記憶に残っていました。
急遽、白川郷に行くことになったときに、同行者はここに来ることがメインだったと。
鄙とは、鄙びた(鄙びた)の鄙。 雅の対義語。

また「お時間かかりますけれど、いいですか?」って聞かれるかな?
そんなことを思いながら入店しました。
「いらっしゃいませ。お好きなお席へどうぞ。」
あれ、今回は仰らない・・・・・
たくさん席は空いているというのに、同行者はカウンター席に着座しました。
カウンターを選んだのはコーヒーを淹れる姿を見るのが好きだから?それともマスターとお話をしたいから?
カウンター席に座りながら、5年前に座った席を見ました。
5年前の私は、どうだったかな・・・とても疲れていたと思う。束の間だったけれど、この席で心安らぐ時をもてたんだよなぁ。
あの日、あの時、この場所で・・・・・
カウンター席に座ったけれど、マスターに話しかける様子はまったくない同行者。
でも、そのきっかけを作ったのは、マスターの方からでした。
「すごいカメラをお持ちですね。」と。マスターは、カメラお好きなのかもしれない・・・
「トイレに飾ってあった写真はマスターが撮られたんですか?」と、思い切って尋ねてみました。そう、思い切ってという感じでした。
だって、ほら、気難しい方という印象が強いのですから・・・・・
トイレに飾ってあったのは、マスター撮影ではなくてお客さんからいただいた写真でした。
「昔は撮りましたよ。フィルムの時代ですね。」
丸眼鏡の奥の瞳が、きらっと光った気がしました。
「田んぼを耕しているような働いている時の姿、普段の何気ない風景を撮ってました。ポーズしてもらってじゃなくて、普段の生活を切り取ってましたよ。」
気難しいという言葉は、この時すっかり消え失せていました。穏やかで、優しいマスターだったのです。
カメラ談義に花が咲きました。被写体の好みが、私にとても似ていることがニュアンス的に伝わってきたのが嬉しくて。
それに、5年間も思っていた「気難しいマスター」が払拭されたのも嬉しくて・・・・・
気難しいマスターだと、とんでもない誤解をしていたことを話すと、「ああ、そうですか~あははは。」と、満面の笑み。
同行者が「忙しい時だから?『時間がかかりますがいいですか?』って聞くんですもん。変わってるよなぁ~って思いましたよ。」と。
またまた、あはは・・・と声を出してお笑いになってました。
マスターの優しい心配りだったのでしょうね。
5年ぶりの鄙。
たったの5年かもしれません。
私にとっての5年間は、長く険しい時間でした。二度とここに来ることができないとさえ、思っていました。
時を隔てた今、私には安らぎが訪れたと言えます。
またこうして、白川郷に来られたことは、幸せこの上ない悦びなのです。
「よきち」のおばさん、「鄙」のマスター、そして白川郷の美しい景色にふれることができて、本当によかった・・・心から、そう思います。












