出産後、一ヶ月ほどしてお宮参りに使われた後、簡単な仕立て直しで三歳のお詣りに使われるのが初着。

初着を全て手描友禅で染められたものは世間では稀。
大量生産の為に手描友禅と称しても型糸目やダック(防染剤入り)友禅で手を抜いているのが当り前の世界です。
もっと安く上げる為に型捺染から仕立まで中国で仕上げているものも大量に出回っています。
中国産は大体貸衣装に廻っているとか。

一年程前に初着の別注を頂いたお客様のお宮参りの写真を本家のブログで紹介した事があります。
それを見たお客様から作って欲しいと注文を頂きました。
ブログに掲載したのは手鞠を主体に和玩具と戯れる兎の文様。
今回は家名に因んで桜を使う事に。

既に染め上がって現在は仕立に廻っていますが、その最も重要な背中の部分だけ写真に撮ったのでご覧下さい。
染屋の独り言Ⅱ-初着:桜に玩具兎
着物は普通反物二枚で後身頃になりますが、初着は小さいので一枚で後身頃となります。
以前は仕立を数こなして居られる初着専門問屋さんに依頼していましたが昨年廃業、仕方なしにこちらで仕立をする事にしました。
すると仕立を安く上げるシステムが出来ていたので、こちらが直接仕立をしても敵わない価格であった事が判明。
胴裏や下着に使う生地は同じ正絹でも安価なものだったかも。
世代を超えて使って頂くのには矢張り最高級品を使いたいもの。
厳選して仕立に回しました。

初着を誂えるとは確かに贅沢。
出来上がりの価格は十万円を少し上回りますが、オンリーワンのオール手描きの初着、下着も含めて一級の正絹生地、仕立も京縫いです。
男の子と同様にレンタルを考えられるお母様もいらっしゃいますが、女の子は着飾ってこそ女の子、三つ詣りにも使える初着の最たるものがこの価格。

依頼主が着物を着用してお詣りされるとの事で、古着の染め替えも依頼されています。
お詣りの写真が頂けて公開が許されましたらご覧頂けるかも知れません。