先般、加賀友禅の四つ身がある小売屋さんの売出しで300万円で売れたと室町で評判になっています。
人間国宝の作家が染めた訪問着であればそれくらいの価格は納得いきます。
桁外れな技術と手間隙掛けた創作時間がその価格を納得させます。

四つ身と言えば幼児の着物、人間国宝が手がけてもその価格になる事は有り得ません。

なぜそんな価格になったかと言えば売れ行きの悪さに価格設定が上がった事が一つ。
売れ行きが悪くなれば価格が下がるのが普通ですが、この業界は反数で稼ぐのではなく利ざやの大きさで稼ごうとします。
考えてみれば当り前なんですが、その為に価格の上昇を生み売れ行きを悪くするというスパイラルにはまってしまっています。

もう一つの理由に買い取らずに借りて商売する商習慣が当り前になってきたからです。
買い取れば価格はそろばんを持って商談できますが、借りる場合は相手の付けた価格に文句は言えません。
それでも中には借りた商品が売れれば値引きを要求する慣習破りの強者も居ます。
しかし、付いた値札は借りた価格を元に利ざやを乗せ、浮き貸し価格に。
つまり、買い取り価格と浮き貸し価格の二重価格があるわけで、何回も業者を通して買う一般の消費者は利ざやの固まりを支払うと言う事になります。

今回話題となった加賀友禅の四つ身は元の製造問屋の出し値は20万余りだろうと言う事です。
ざっと15倍。
消費者に渡るまでに七軒の業者を経てその価格になったと言います。
お見事!!

沢山の業者さんを喰わさんが為に大金をはたいて下さったお客様に感謝申し上げます。

時々、高くなければ買わないと言う値札信者が居られます。
不景気でめっきり減った様ですが健在です。
なかな売れなかった百万の値札を付けた訪問着が間違って一千万の値札を付けた途端に売れたと言う事例もあります。
これは商品を見ずに値札を見る事しか能の無いノウタリンです。
高い物を買う方は勉強しなくては行けません。
物を見る目、業界の仕組み、売付ける業者を見極める目。

悲しいかな、この着物業界にはまだまだ魑魅魍魎が跋扈しています。
タケウチが潰れたからと言っていかがわしい者が消滅した訳ではありません。
1を10で売る人で一杯ですが、良く探すと本当に値打ちのある物が割安で手に入る事があります。
ネットで安く手に入る物は大体それなりに作った物で本当に安いとは言えません。
何とか売らんが為に10の物を6や7で時には3ぐらいで売られる事もあります。
それを見付けるのは物を見る目と商品知識だと思います。

消費者の皆さん頑張って見る目と知識を充実させてください。