22年目の告白 | あさひのブログ
韓国映画「내가 살인범이다(殺人の告白)」を日本風にアレンジしたリメイク作品。

「22年目の告白-私が犯人です-」(2017年 監督/入江悠 主演/伊藤英明、藤原竜也)
116分


藤原竜也くん主演。しかし当時「あなたが犯人でも誰も驚かない」と揶揄されたくらい、藤原くんは猟奇殺人の犯人役って似合ちゃうんだよねぇ。ニヤニヤ

――1995年から起こった猟奇的な五つの殺人事件、それらは時効を迎えたが、2017年、犯人を名乗る男が真相を書いた手記を出版すると発表した。大々的に記者会見が行われる。犯人の男・曽根崎は自分の美学に基づく犯行方法を自慢するかのように話し始めた。そしてこの真相を詳細につづった本を出版することが、もはや逮捕されることなく懺悔する機会をうしなった自分の唯一出来る罪滅ぼしだと語る。告白本のタイトルは「私が殺人犯です」…。

牧村刑事は四件目の事件で犯人を追い詰めたがギリギリで取り逃がし、逆恨みされた犯人によって狙われ、自分の身代わりに先輩刑事が罠に嵌められ殺された。まるでタレントのような扱いで連日テレビに映る曽根崎の顔を睨みつける。

告白本は売れに売れ大増刷となる。マスコミは不謹慎だと煽ったりいや表現の自由だと反論したりで告白本はますます話題となる。しかし曽根崎はもっともっと話題を作って本を売らなければならないと編集者を脅しつける。
曽根崎は被害者の遺族に会いに行き、多くのマスコミが群がる中で土下座をしてみせた。遺族が怒りを抑えられるわけがない。その様子はテレビを通じて多くの人々の関心をさそった――

[ここからネタバレ----
夜のニュース番組の顔である仙堂キャスターはかつてフリージャーナリスト時代にこの連続殺人事件を追って本も出版していた。仙堂キャスターは曽根崎の生出演を提案する。法律で罰せないのなら我々マスコミが彼を裁こうではないか!

事件で妻を殺されたヤクザの橘組の会長が曽根崎を狙っているという噂を耳にした牧村刑事はサイン会の会場へ急ぐ。客に紛れていた橘組の男が銃を取り出し曽根崎を襲うが牧村刑事が間一髪で助けた。さらに客を装った被害者の娘がナイフで切りかかるがそれも身を挺して防ぐ。殺人犯を救いたいわけではないがこれが警察の仕事だ、そもそもあの時自分が捕まえていればこんなことにはならなかったのだ…。

曽根崎をゲストに迎えたニュース番組内で仙堂キャスターはこの告白本には書かれていないもうひとつの事件があると指摘する。それは牧村刑事の妹の里香の事だ。神戸に住んでいた牧村里香は阪神淡路大震災で被災し東京の兄の元へ身を寄せた。5番目の事件の時、狙われた牧村刑事のアパートには牧村里香がいたはずだが、彼女の事について一切触れられていない。あの事件以来牧村里香は行方不明だ。
さらに今から数時間前に、曽根崎が偽物で真犯人は自分だと名乗る人物が証拠動画を投稿したとその映像を放映する。牧村刑事のアパートが見える建物から撮っている映像で、傍らには牧村里香が拘束されている様子が見える。だが曽根崎は動画は偽物だろうと一蹴する。
仙堂キャスターは告白本というのに犯人の動機が書かれておらず、あなたが偽物だから書けなかったのではないかと切り込むが、曽根崎は平然として、本を隅から隅まで読めばそこに書いてあると答える。

番組に動画の投稿者から出演してもいいと連絡があった。その条件として曽根崎と牧村刑事を一緒に出演させること。即座に特番が組まれ曽根崎と牧村刑事が呼ばれた。その場に現れたのは覆面をした男。男は曽根崎が嘘を言い散らかしている詐欺師だと批難し、証拠の動画を局に差し出した。それはアップされていた動画の続きで牧村里香が絞殺される様子を映していた。さすがに放送できずスタジオ内の人間だけがそれを見た。牧村刑事は怒りと悲しみに震える。
だから言ったろ、俺が犯人だって。覆面の男はせせら笑う。と、突然曽根崎が覆面の男につかみかかった。大乱闘となりスタジオは騒然となる。抑え込まれた曽根崎に仙堂キャスターが迫る、真実を、あなたは真実を言わなければならない!!曽根崎はついに、自分が犯人ではない、本を書いたのも自分ではないと吐いた。では誰が!誰が書いたと言うのだ!?
「それは私です。」
その声に全員が目を見開く。その声の主は…牧村刑事だった。牧村刑事は言う、彼、曽根崎は牧村里香の恋人・小野寺だ。

事件が時効を迎えた夜、小野寺は投身自殺を図った。かろうじて一命は取り留めたが彼は別人になって里香を殺した犯人を捕まえたいと言った。事件の被害者の夫である医師に協力してもらい彼を整形させた。告白本を出版して儲けさせればそれを見た犯人は苛立ち名乗り出て来るはず。
牧村刑事は覆面の男に迫る。だが男は狼狽し、自分は犯人ではなく実は知らない人物から動画をアップするよう頼まれただけだと言い出す。牧村刑事は男の服を破り取る、だがその肩には牧村刑事が撃った銃による傷跡がなかった…。

小野寺は特番の映像を見直していて気づいた。そして急ぎ"彼"の別荘へと赴く。
仙堂キャスターは秋の特番の密着取材を受け長野の別荘へ撮影クルーを案内する。だがそこで待っていたのは小野寺だった。お前だったのか…小野寺は仙堂キャスターに突きつける。誰よりも早く告白本に反応し批判を繰り返してきた、自分の事件を盗られたのが悔しかったんだろう、と。小野寺は仙堂のコレクション…犯行の一部始終をカメラにおさめた映像をスクリーンに映し出し、撮影クルーらは茫然とする。
小野寺は隠し持っていた包丁で仙堂を刺し、シャツをまくる。その肩には銃による傷跡がくっきりと残っていた。仙堂は自らコードを首に巻き絞め殺せと挑発する。彼は戦場ジャーナリスト時代に友人を殺されたトラウマで一連の犯行を行っていたのだ。小野寺はコードを引く…そこへ彼が長野へ向かったと知り車のGPSを追って来た牧村刑事がかけつけた。そいつを殺しても里香は帰ってこない、それに、事件は時効じゃない、里香が殺された時の動画、あれは正午を回っている、正午を回ったあの日から法律が変わり凶悪殺人事件に時効は無くなったのだ…!

仙堂は逮捕され近くの山から牧村里香の遺体と思われる白骨が発見された。
小野寺は海外へと旅立った。拘留中の仙堂は告白本を出版した。精神病院で治療を受ける仙堂に、清掃員に扮した男が近づき包丁を刺す!彼は事件の被害者の息子だった。(終)
----ここまで]

うーん、オチがキビシイなー。
[ここからネタバレ含む----ラストシーンも犯人を殺す寸前で拓巳が思いとどまったところでパンッと切って終ればいいのに----ここまで] 余計な後日談くっつけすぎでダサい…。こういうのいかにも日本映画って感じ。情緒に欠ける。

ミステリのトリック自体は凝ってて見ごたえあるし主に序盤の社会批判もまあわかるわかる、なんだけど、長いわ…。小説として読むなら全然アリだけど映像化するとこうも長く感じるかね。
この物語はホワイダニット、なぜ犯人はそう行動したのかを追う形で進むけど、特に前半一時間が冗長に感じる。犯人役を藤原竜也に託してる時点で、ここまで時間を割いて犯人のワルさを描かなくても日本人なら察してくれるはずニヒヒ
で、実は主人公は犯人役の藤原竜也ではなく刑事役の伊藤英明なんだけど、彼がまた良ーい芝居してんだな。ずば抜けてんな。藤原くんはキャラクター的にあまり見せ場がなくてむしろ残念。でも監督が彼をキャスティングした理由はよくわかる。キャスティング自体がトリックウインク
んで最初から困ってしまったのが仲村トオルの大根っぷり。重要な役なのにこれはツラい…。

まあでも日本の映画にしては安っぽさがなくてそれはよかったかな。伊藤英明ファンには強く強ーくオススメいたします。素晴らしい演技!表情!