中国語でドラマを見る-軍師聯盟 #19 | あさひのブログ
「大軍師司馬懿之軍師聯盟(全42話)」のあらすじ。
中国語版のざっくり解読なので間違ってるところもあるかもしれません。


[第四十二集(最終回)]
鄧艾は司馬府を訪れ曹洪が投獄されたことを春華に伝え、尚書台として必ず仲達を救ってみせると言う。そこへ柏氏がやってきて、自分の恨みを晴らすためのその行為で仲達が危機に瀕することになったと言い放つ。曹洪が処刑されれば曹一族と軍兵らが黙っていない、そして彼らを抑えられなくなった陛下はどうする?仲達を処刑して彼らの怒りを収めようとするだろう。それを聞いた鄧艾は真っ青になる。そこへ鍾会もやって来てとんでもないことをしてくれたと鄧艾を殴りつける。曹洪を助けなければ仲達も助からない…鄧艾はすぐに陛下に情状酌量に行くと去って行ったが、陛下の気質からいって命令を撤回するとは思えない。今の陛下の気持ちを変えられるとしたらただ一人、郭皇后だけだ。しかし春華も柏氏も今は気軽に会いに行ける身ではない。そこで夏侯徽を皇后の元へと遣る。

鄧艾は私情により曹洪を追い詰めたと申し出て情状酌量を願うが、曹丕はお前が言い出したことをなぜ撤回すると問う。曹洪を処刑すれば曹一族や将士の不満が爆発し仲達や新制度そのものが彼らの怒りの対象となると訴えるが、曹丕はお前は結局のところわたしの味方なのかそれとも仲達の味方なのかと突きつける…。

話を聞いた郭皇后は太后の元へ。太后は皇后が政事に口をはさむのは許されないと激怒しこんな皇后は廃すべきだとまで言い出す。そこへ騒ぎを聞いて曹丕がやってきた。太后は曹洪のおかげで先帝は何度助けられたことかと言い、何も死刑にせずとも爵位剥奪などで済ませればよいではないかと説く。曹丕はとうとう母の意を汲む形で情状酌量を受け入れた。
郭皇后を連れて戻った曹丕は、司馬懿を救うためにしたのだろうと問う。郭皇后は蒼白になり慌てて平伏する。だが曹丕は彼女を助け起こし、ありがとう助かった、と言うのだった。


曹丕の前に連れてこられた曹洪はひたすら畏れ入り平伏する。曹丕は郭照の皇后即位に伴う特赦として、曹洪をはじめ投獄されているすべての者の罪を赦しあるいは減刑すると言い渡した。曹洪の爵位を剥奪し、そして司馬懿も官位剥奪し郷里へ帰らせろと命じる。ところが曹真が反対する。司馬懿が罰せられたら曹一族の怒りが解けてしまう…。曹丕はもちろんそれが狙いだった。死罪であった曹洪が爵位剥奪されるのだから同様に死罪であった司馬懿も官位剥奪されるのは当然であろうと言う。

仕事場から荷物を引き上げる仲達はようやく平穏な日々を送れるとむしろ晴れ晴れしていた。陳群に新制度による富国強兵をあと三年は続け、若者たちをよく導いていってくれと頼む。鄧艾や鍾会ら尚書台の部下らは皆引き留めようとするが、仲達は彼らに常に"利害"と"形勢"を読み、国のために新制度を遂行していくようにと託して去って行った。

司馬府ではもう荷物もあらかたまとめ終わっていた。仲達は春華と共に夕食を摂る。昔拾った子亀はすっかり大きくなりすぐに碗から這い出てしまうようになった。思えばあの脚を折った日から随分経ち、絶対仕官はしないと考えていた自分が帝の傍らで政事をとるようになっていた。この亀と一緒に遙か洛陽まで這って来たが、また共に郷里へ帰るのだ。
彼女はどうするの?春華に訊かれた仲達は、全てお前のいいようにしなさいと答える。春華はご飯を食べ終わったら彼女に荷物をまとめるよう言いに行きなさいと言うのだった。


西の離れへ赴いた仲達は、柏氏に共に郷里へ行こうと言う。彼女が陛下のスパイであるがゆえに常に警戒してきたが、官職を退いたこれからは見張られる心配もなく腹を割ってつきあえる。しかし柏氏は共には行けないと答える。もし侯嬴が信陵君について行っていたら彼がその後の偉業を成し得たかどうかわからない。そして私はあなたがまた朝廷に戻って来ると信じている、その日のために私はここに残ります、と。この世はいつでも、どう転ぶかわからない。人の生死も紙一重…そう言う仲達に柏氏は初めて仲達を見た時の事をよく覚えていると言う。志に溢れた眼差しのその男は人生かけてその大きな仕事をやり遂げるだろう。私をあなたの手駒として使ってください、それだけが私があなたのためにお役に立てること…。

仲達は部屋へ戻ろうとするが、なぜか春華は部屋に鍵をかけて仲達を締め出し寝てしまった。どういうことだ?しばらく待ってみるが春華は灯も消してしまった。
仲達は仕方なしに西の離れへ戻り、柏氏に妻から締め出されたと告げる。柏氏は春華の気づかいだと悟る。柏氏は部屋に入れてもいいけどひとつだけ答えてほしいと言う。あの日、陛下の避暑地で会った時に私のことを魅力的だと思ったの思わなかったの?
仲達は妻との二十年来にわたる心の繋がりは一時の色香に惑わされるものではなかったと言い、しかし今は柏氏とも共に暮らし心の繋がりがあると感じていると答える。柏氏は仲達に抱き着き仲達もしっかりと抱きしめる。


曹丕は叡公子を連れ狩りに来ていた。曹丕は一頭の鹿を見事射止める。その鹿の側に仔鹿がいる。あいつを狙え、曹丕は叡公子に矢を射るよう指示するが、叡公子は母を殺された仔鹿を殺すのは不憫でならないと弓を投げ捨てた。

郷里へ戻った仲達はすっかり荒れ果てた農地を耕し始める。司馬師も司馬昭も、どうせ父は新制度のことが気になって仕方ないはずだ、途中で投げ出すはずがないからなと呆れながらも手伝うのだった。

都ではまたいつものように朝議が開かれる。そこに司馬懿の姿はない。(終)


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総括。

おもしろかった、すごくよくできた連続ドラマだった!
何といっても脚本が良い。歴史ものなのであまり大きな改変ができないのに見事にサスペンスミステリに仕立てあげた巧妙さ!そしてこの脚本をわかりやすく(特に若年層向けに)味付けする演出、その演出をばっちり演じ切る俳優陣!
脚本、演出、お芝居が見事に揃った傑作というべき。

これは"三国志もの"ではなく、三国時代の魏国を舞台にした政治陰謀劇。一国の王位継承権を争うよくあるといえばよくある物語。巧妙だと思ったのは物語を推しつつキャラクターものとしても印象付ける演出…現代的なお芝居やコメディ風の逸話を細かにはさんで、漫画のキャラクターのような愛着を持たせることに成功してる所。主人公の司馬仲達は賢さより人柄の良さを前面に出していて、紳士で魅力的ですごくモテそう(若干おっさん臭いけどw)。影の主人公・曹子桓は卑屈で将来を諦めきってる青年という現代の若者が一番感情移入しやすいキャラで、これは彼の成長を描いた物語。絵にかいたようなライバル・楊修は憎らしいんだけどとにかく賢くてそつのないエリートで何度でも復活するボス級の強さが特に男性にウケそうだし(なかなかのイケメンなので女性にもウケそうだし)、そしてなんといっても曹操!最初からラスボスのごとく君臨する彼があまりに強大すぎて、そもそもこれ倒せない神なんじゃねと絶望してしまう超人っぷり。しかしその神にも人間らしいところがあったり、どんな絶望級のラスボスも勇者一人ではなく多くの仲間の協力によって立ち向かえるという、この作品のタイトルにもからむテーマを作りあげている。
主人公の仲達ははじめは己の力を過信して正しさを追求しようとするが荀令君から人々と協力することを教えられ、国は民衆の手によって動かされることを学ぶ。「正しさ」が政治を動かすのではなく「勢力」つまり国民が動かす、国民を納得させられなければ政治は動かない、ゆえに政治を動かそうと思う者は国民を動かすことから考えなければならない。当たり前そうで気づかない政治の仕組みを説く教材的なテーマがとても好印象。平たく言えば、より多くの人々と「協力」することの大切さを説いてる作品。

ミステリ仕立てなのでセリフと心情が合致しない(嘘をついている)事が多く、視聴者はその表情で真意を推測するため俳優の演技力が試される。でも本当にお芝居の巧い人ばかりが集ってるし、重要な手がかりが映る時はスローモーションにするなど印象付けて、それでも分かりにくいと思われるタネ明かし部分は複数の人物によって繰り返し言わせてるし、特にミステリ好きでない人にもわかりやすい親切設計。ただセリフ量が多いのと歴史にからめた表現が多いので、日本語版に翻訳する時は「含みのあるセリフ」が無くなり全て直接的なセリフに変更されるおそれも。そうなると陰謀劇としては面白さ半減するからもったいないなぁ。

司馬仲達役・ウー・ショウボー(呉秀波)はちょっと本人の味が前に出過ぎで苦笑してしまうけど、演技の幅が広くて素晴らしい。コメディは上手いしシリアスでも周りを圧倒する迫力。
曹子桓は一番裏腹なセリフが多く沈黙で語るシーンが多い最も難しい役どころ。それをジェリー・リー(李晨)は見事に描き上げた。しかも卑屈で素直じゃなくてかわいくないキャラなのにちっともそうは思わせないクールな格好良さを保ったままっていうのが凄い。ただのイケメンじゃ無ぇ…。
曹操役のユィ・ホーウェイ(于和偉)は別の有名な三国志ドラマでは劉備を演ってたらしい。いやでもこれ見たら劉備は到底考えられないんだけど。この人のポーカーフェイスな笑いの恐ろしさ!この作品はこの曹操だからこその面白さだったな!
楊修、荀令君、崔尚書、鄧艾、郭嘉、子丹、子建、献帝…みんなそれぞれ個性的で味があって印象に残るお芝居。
女性陣も皆個性的で可愛い子が多くて、でも可愛いだけじゃなくきちんとお芝居できて。というか演技力に応じて配役したんだろうと思う。見るからに若さが売りのタン・イーシン(唐藝昕)は単純思考キャラの郭照に、含みのある芝居のできるチャン・ジーシー(張芷溪)には甄宓を、と。「ミーユエ」でおしとやかなお姫様を演ってたリウ・タオ(劉涛)が破天荒な女剣侠でしかも似合ってたのが驚き!
唯一ミスキャストだと思ったのはチャン・チュンニン(張釣甯)。この子は清純派すぎてミステリアスなキャラである柏灵筠を演るのは無謀だった…こういう子は正統派主人公か悲劇のお姫様しかできないと思う。本当唯一の残念ポイント。

続編は「虎嘯龍吟」というタイトルで現在放送中らしい。今度は諸葛孔明がライバルとして出て来るということで、三国志ファン待望の内容になってるかもしれない…?



長いものに巻かれろ