
近代の日本画家・木島櫻谷の作品とデッサン、下絵など約50点を展示。
特に動物画が高く評価されてる画家みたいですが、元来日本画や骨董品に興味がないのでその価値とか人物像は他サイトを参考にしていただくとして、生き生きとした動物絵は確かに素晴らしいものでした。とても動きのある、まさに"絵から飛び出してきそう"な臨場感あふれる作品の数々。平面的になるのが日本画の特徴でもあるのにとても立体感を感じ、特に動物の毛皮、あのふさふさ感ふわふわ感ゴワゴワ感がそれぞれ忠実に描きこまれてるのです。薄めた墨のもわっとしたにじみや広がりはアンダーコートのふわふわ感を感じさせ、筆跡を生かし躍動感を走らせる濃い墨がオーバーコートを表現。油彩とはまた違う毛皮の手触りを目で感じられます。
今でこそ動物の瞬間の表情を捉えた写真なんてネットで検索すれば簡単に見られるけど、この櫻谷の活躍した時代は写真はまだまだ高価なもので、動物たちのこの表情は人間の目が捉えたものを頭の中に現像してそれを写し取って描かれたもの。その瞬間を捉える目線が凄いと唸らざるを得ない。
そして才能ある人はやっぱりその能力をすべて見せてみたくなるのでしょう、動物の格好、姿勢が、普通はあんまり描かないよなぁという構図もあって。例えば鹿のお尻をリアルに綿密に描いた掛け軸…こんなの床の間に飾っておく?(^▽^;) 立派な鶴を描いた屏風も、首をぐるんと曲げて羽根つくろいに忙しく半目の鶴ばっかり…ちゃんと下瞼が閉じてるところなんかリアルだわー。
絵画として作品になっているものは、もちろん、日本画らしくある程度格好良くデフォルメされた勇ましい動物たちだけど、多く残されている普段のスケッチは生物学者のノートのように非常に写実的で鳥の模様も細かに記録されてたり、日々の努力が垣間見られるものでした。

櫻谷が使用した絵筆や絵の具も展示されてます。
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常設展示室では「中国青銅器の時代」と題してコレクションの青銅器が数多く展示されてました。

祭祀に用いる食器や楽器、鏡などで緑青に覆われずっしり重みのありそうなものばかり。驚くべきことに商時代(日本はその頃縄文時代)のものがほとんどで、数点は朽ちかけてるものもあったけど大部分が無傷の完全な原型を留めていていわゆる中国四千年の歴史の凄さを感じます。
1ミリに満たない細い細やかな模様がびっしりとほどこされ、そして中国文化は対称性を重んじるので完全な丸みや完全に対称な模様、デザインの美しさ。機械のようなこの業を人の手でというのが凄すぎる…。展示されているものの大部分が、大昔に作られたことを理由に価値が決まる骨董品としてではなく単純にその美しさで価値が決まる美術品として鎮座。でもちゃんと骨董品、歴史的資料としても扱われていて、楽器を実際に鳴らした音を聞く事ができたり青銅器の文様をコピーした完璧なレプリカが自由に触れたりという楽しさも。
木島櫻谷 近代動物画の冒険
10/28-12/3 泉屋博古館(京都)
泉屋博古館(京都)
京都市バス「宮ノ前町」下車すぐ。
常設展示室の展示は会期が決まってるので確認してから行ってください。