ドラマでお勉強-大秦帝国之崛起 #11 | あさひのブログ
「大秦帝国之崛起(全40話)」第三十六集23分頃から。
秦軍の猛攻を受けている趙国は楚国に助けを求めるべく、王叔の趙勝(平原君)が合従交渉に赴くことになった。趙勝は門客の中から選りすぐりの20人を連れて行くことに。

* * * * *

「公子さま。」
「どのくらい選抜した?」
「はい(お答えします)。公子さまのご意向に応じるため、一緒に楚国へ赴く門客20名を選出しようとしたのですが、今まだ19人で、一人足りません。」
「月にも満ち欠けがある、一人少ないなら少ないでかまわん。」
「公子さま、おれを一人に数えてくれよ。」
「お前を?」
集った門客らは笑う。
「お前ら何を笑うんだ。笑う相手はおれじゃなくお前らだろう。
 公子さまに申し上げます。おれは公子さまが秦を攻める合従の盟約を楚王と交わしに楚国へ行くと聞きました。今公子さまについていく門客が一人欠けているんだったら、おれを数に入れて、おれを一緒に行かせてくれよ。」
「先生のお名前は?」
「ぼくは毛遂と申します。」
「君は我が家に来て何年くらいになる?」
「今日で三年は経ってます。」
「三年…。先生、賢者は世間においては袋の中に立てて入れている尖った錐のようで、その切っ先はすぐに現れ出て来る(*1)。しかし先生は我が家に三年もいるのに、君の噂を聞いたことがない(*2)。先生は文才に優れてるでも武芸に優れてるでもなさそうだ。今回の我らの楚国行きは、趙国の存亡がかかった重大事案である。恐れながら先生にはとても任せられない。君はここに残ってろ。」
「公子さまの言う事もごもっともですが、賢者がその才能を発揮するのは、才能を発揮する機会があったからこそ。公子さまは賢く仁義篤く下に仕える者にも礼を欠かさないことでその名を知られてます。しかし公子さまがもし趙の公子という身分でなければ、どうして(仁義篤く礼を欠かさない人としての器の)偉大さが知られるようになったでしょう。なのでぼくはまだ切っ先を現してはいませんが、それはただ袋の中に入る機会がなかっただけで、もし公子さまがぼくを袋の中に放り込んでくれたら、鋭い錐は自ずと切っ先を突き出すことができるんです。」
*1 錐の先が袋の底を突き破って出て来るように、優れた才能を持つ者はすぐに頭角を現すはずだ。
*2 直訳:私はみんな(誰か)がお前の話を持ち出すのを今まで聞いたことがなかった。


* * * * *

楚国にて。楚王に謁見を許された趙勝が宮殿へ入って半日が立った。いつまでも出てこない主人を心配した門客らは様子を見に行こうと中へ入ろうとするが門番に止められた。ただ一人毛遂だけが門番の制止を振り切ってずかずかと中へ入って行ってしまった。
第三十六集26分頃から。

* * * * *

「公子さまー。」
「待て!止まれ!入ってはならん!」
「誰だお前は、我が楚の宮殿で騒ぎを起こす気か!」
「毛遂、お前何しに来た…!」
「公子さま、あなたと楚王の合従の相談は、利なくして害あるわけでもなく、ふた事も話せば(合意すべきと)明らかな事なのに、早朝から昼に至るまで話し合って未だ結論がでないとは、どういうことですか?」
「わしとおまえの主人が話し合っているのは国政の重要事案である、おまえは何を考えておる。」
毛遂は剣の柄に手をかけて楚王に詰め寄る。
「止まれ!」
「毛遂!」


「楚王はおれを大声で叱りつけるのか。だがいくら大勢の楚国人がいるからといって、今私と楚王の距離はたった三歩しかない。三歩の圏内で、貴国が多勢に任せたとて、おれをどうすることができようか。大王の命は私の手中にある。我が家の主人の目の前で、我が家の公子の前で、楚王が私を叱りつけるとは、我が家の公子に対して無礼だろう(*3)
ましてや私の知るところでは、商の湯王はかつて七十里に及ぶ地を持ち、天下を統治した。周の文王は百里あまりの大小の地をもって、天下の諸侯を従えさせた。彼らが兵の多さ将軍の多さゆえ(に天下を治められた)と言うのですか。いや、うまく時を見定め(敵対)勢力を抑え、自ら強くなるよう奮起し、己の長所を磨き上げたに過ぎないのです。今貴国の領土は広く五千里、将士百万人、覇王の座を争う資質は充分でしょう。貴国の強大さに、(その道を)ふさいでくる者は天下におりません。秦国の武安君白起は、ただの工匠出身のこわっぱだったが、数万の秦兵を率いて貴国と戦い、一戦目で鄢城と郢の都を攻め取り、二戦目で夷陵を焼き払い、三戦目では楚王のご先祖様もがひどく辱められました。この貴国の百代かけてもなお晴らせない恨み、我が国の趙王さまもみな恥だろうと思っている。しかし今見ていると、楚王は悔しいとは思っておられないようですね。合従の盟約は貴国のためで、趙国のためではない。我が家の公子の目の前で敢えて楚王に問いましょう、楚王はなぜこのように私を叱りつけようとするのですか。」
「先生のおっしゃる事、雷のように耳を貫いたわ。わしは貴国との合従に国の全力の力を上げよう、秦と戦う盟を組む。」
*3 直訳:どうして我が家の公子に対する無礼でないことがあろうか。

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