

台湾の故宮博物館から「北宋汝窯青磁水仙盆」というお宝が来ているそうです。中国北宋時代に汝(ルー)という窯元で作られた青磁製の水仙を活けるための盆、です。
この特別展については後述します。
朝鮮、中国、日本の陶磁器を収集展示している美術館で、常設展が思いのほか面白かったのでそちらの方から。
最初に朝鮮の青磁器。うろ覚えだけど高麗時代のものが殆どだったような。うっすらと浮かび上がるような模様が繊細で美しく現代の百貨店に並んでそうな上品さがあり、その後に続く扁壺と呼ばれる壺の腹を両面から押して平らにしたような形の壺や、俵型をした壺など独特の形が面白いものが並び、後半の大型の壺や皿に描かれる模様や動植物は大胆にデフォルメされていて現代美術みたいに楽しく。ただ、展示されてるこれらの朝鮮の磁器は、どこかしら不完全。瓶の体部は完璧に美しい曲線なのにそこから伸びる首が垂直からは若干ずれて傾いてたり、口が歪んでたり、主に縦横の平衡感覚が微妙にずれてるものがとても多かったです。ただそれが逆に、工場大量生産品とは違う手作りの味として出ていて強く印象に残りました。青磁器や白磁器は得てして冷たい印象になるのですが、そこへ手作り感が感じられる歪みが入ることで人間味が感じられました。もしかしたらこれらをコレクションした安宅氏もそういう所が好きでそういう色が強いものばかり集めてらしたのかもしれません。
あとこういう展示では王族が使っていたような装飾品として用いるものばかり並ぶことが多いと思うのですが、ここでは実用されていた、つまり壺は酒や食料を収納していたものが多く、所々欠けていたり変色していたり。歪みやへこみも、その窯の一級品ではなくちょっとランクダウンでお求めやすくなってるものだからかなと思わせます(同時期の中国では歪みないパーフェクトな磁器が作られているので技術が足りなかったわけではないと思います。)庶民とは言わないけど王侯貴族ではない、そこそこ裕福な家の台所で活躍してたんじゃないかなという品々。ちょっとお洒落なご主人(または奥方)が普段使いにもこういう小洒落た模様の入った壺を買い求めては悦に入ってたのかなぁと想像が膨らみます。
次に日本の陶磁器。こちらは身近で見慣れた色合い質感でほっとする空間になってます。朝鮮の磁器と比べるとごつごつした石っぽさが強く印象に残ります。石っぽくてあたたかい感じ。
それから中国の磁器。たしか唐代のものだったような。西洋っぽさもあるデザインや質感と、あとやっぱり華やか!ゴージャス。贅を競った感がありました。
さて特別展ですが、目玉の北宋汝窯青磁水仙盆を始めとした青磁水仙盆6点。
水仙盆の使用例↓

この写真は現代の作家が本物を手本にして作った水仙盆を使用してます。
展示されてるのはこの青磁の盆とその盆を置く台。
正直、区別つかん!!!
6点全部同じに見える!
さらに、「フツーの皿」感ハンパない!
なんというか、形状もなめらかさも色合いの均一さも幾何学的にパーフェクトすぎて、見た目が現代の工場生産製と変わらないの…。
大きさは掌2つ分くらいで無地(裏面に詩が書いてあるけど)。この水仙盆というのは当時「犬のエサ入れ」という俗称があったそうで、本当にそんな感じ!!
皇帝がこの水仙盆を愛用したそうなのですが、小姓や後宮の女達が「陛下ったらまたあんな犬のエサ入れにムダ金はたいて…!」と陰口叩いてる様子が容易に想像できます…(´д`lll)
この特別展に合わせて宋代の青磁器を紹介する特集展があり、こちらは流麗な絵が描かれていたり細やかな模様が入っていたりで見ごたえありました。
特別展「台北 國立故宮博物院―北宋汝窯青磁水仙盆」
特集展「宋磁の美」
12/10(土)-3/26(日) 大阪市立東洋陶磁美術館
大阪市立東洋陶磁美術館
京阪なにわ橋駅すぐ。市営地下鉄淀屋橋駅、京阪淀屋橋駅徒歩5分。