オデッセイ | あさひのブログ
「オデッセイ」(2015年 原題「The Martian」 監督/リドリー・スコット 主演/マット・デイモン)
142分
オデッセイ(字幕版)/作者不明

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アメリカのベストセラー小説をCG等駆使して実写化したSF作品。

――近未来、ついに人類は火星に降り立った。NASAによる火星探索アレス計画は第三期に至り、地質調査等が実地に行われていた。
ある日急速に発生した大嵐によって調査員らは緊急避難を余儀なくされる。嵐で視界はほぼゼロの中わずかな光を頼りに宇宙船へ向かうが、飛んできた機械の破片が調査員の一人マークを直撃、マークは破片と共に視界から消えて行った。彼の宇宙服の損傷を知らせるモニター音…仲間らは彼の生存は絶望的と判断し、残り5名はなんとか船へ逃げ込みそのまま火星軌道上に待機している母船ヘルメスへと帰還した。

嵐が過ぎ去った荒野でマークは目を覚ました。腹部に細長い金属が突き刺さっている。血液が金属棒と宇宙服の隙間をふさぐ形で固まったおかげで奇跡的に生きていられたようだ。
痛みを堪えてキャンプ施設へ戻り傷の手当てを施す。今の現状は分かっている。仲間らは嵐の中宇宙船で脱出した。アレス3計画は中止、ヘルメスはこのまま地球に帰還するだろう。おそらく自分はもう死んだ事になっている…だが実際は、まだ生きている!――

[ここからネタバレ--------
次回地球から調査機がやってくるのは4年後。マークは施設内の備品を調べる。電力は太陽光がある。水と酸素は機械が故障さえしなければ大丈夫そうだ。問題は食糧。6人分の食糧をかきあつめても4年分には足りない。真空パックのジャガイモを目にしたマークは、これを種イモとして施設内で育てることを思いつく。栽培は思いのほかうまく進みこれで食糧問題は片が付いた。
次に、アレス4計画で宇宙船が着陸する予定の場所まで移動しなければならない。ルートや方法を探るためマークは毎日のように車を走らせた。

地球では、アレス3計画の事故と中止がすでに伝えられ全世界がマークの死を悼んだ。
だがある日NASAの職員が、火星地表面で車が移動しているのを発見する。マークは生きている!すぐに追調査と、彼が生きているとして連絡手段が検討された。

マークは大昔の火星探査機が近くに眠っていることを思い出し、掘り起こして起動させてみる。幸いにも立ち上がり地球と通信することができた。NASAではすぐさまマークの救出のための計画が立てられる。
生きのびるためのアイディアがNASAから送られるようになり火星での生活も軌道にのってきたと感じてきたその矢先、キャンプ施設のハッチが大破し栽培していたジャガイモの苗はすべて死んでしまった…食糧問題はまた後退してしまった。
マークは食事をきりつめ、NASAは食糧輸送船を急ピッチで仕上げ、打ち上げにこぎつける。だが点検作業を簡略化したせいで打ち上げは失敗してしまった…。このニュースに世界中が落胆した。だがそれを見た中国の宇宙開発局が、新開発のロケットを彼のために提供すると申し出た。
NASAでは、ヘルメスが地球軌道上で食糧輸送船を回収しそのまま火星へ舞い戻りマークを救出するという新たな案が出された。だが成功する保証はなく、下手するとヘルメスの船員全員の命が奪われる。案は却下されたが、ひそかにこの案を知らされたヘルメスの船員は、全員一致でマークを助けに戻ることに。NASAの指示を無視して食糧を回収し火星へと向かって行った。彼らの行動を理解したNASAも全力でバックアップする。

そしてついにマークが火星を脱出する日。ヘルメスは火星に離着陸するほどのエネルギーは残していないため、アレス4計画で使用するため既に火星に設置してある母船帰還用ロケットにマークが乗り込み、火星軌道上で回収してもらう計画だ。
船体をぎりぎりまで軽量化した宇宙船が打ち上げられるが、予想ほど距離がのびずヘルメスからの回収が難しい。いちかばちか、ヘルメスの出入口の一部を故意に爆発させその推進力でマークに近づき、そして、やっと4年越しに彼らは再会を果たした…!

アレス計画はその後も継続され、また今日も新たなロケットが打ち上げに成功した。そのニュースをみるかつてのヘルメスの船員たち。そしてマークは宇宙飛行士候補生らに自らの体験談を語りはじめるだった。(終)
-------ここまで]

これ2時間20分もあるとは思えないくらい、物語はスイスイ進んで最後まで休みなく見せる凄さ!サバイバルでも常に生と死に向き合ってるような極限のハラハラばかりではなく、アメリカならではのユーモアを含んでいて、例えばアメリカではビジネスの場でも平気でジョークを飛ばしたりするお国柄だけど、ここではむしろその文化によって心理的に助けられる部分が多い。この舞台がもし日本だったら最初の30分で既に息が詰まって死にそう(;^_^A

映画としてはたっぷり2時間以上あるけど、物語の内容としてはおそらく原作からは相当省いてるだろうなと思われる各所設定があって、これは後から原作を読まずにはいられない仕様。主人公が植物学者であるという設定は単にジャガイモを栽培させるためではないはず。そんなことは素人でも思いつくからね!きっと映画では描き切れないアイディアが元の物語には沢山含まれてるはず。
そして映画化するにあたってはおそらくストーリーを再現することよりもエンターテイメントとして、SFにさして興味ない人でもしっかり理解できるようにという配慮を大切にして制作されてる感じが。人の命を救うという、SFというか科学以前の目的を中心に据えていてとてもわかりやすい。

物語の設定上主人公マークの一人芝居になりそうなところで、でも一人でぺらぺら喋ってるのは現実的でない。でも台詞がないと彼の心理が説明しきれない。そこでビデオジャーナルを撮っているという設定になってるのが、上手いなぁと。もちろん無言で芝居だけで見せる部分もあるけど、わかりやすさという観点からいっても脚本がよくできてると思う。
映像に関しては火星がどんなとこか知らんし凄いのかどうかはよくわからない。火星地表面での作業が地球上と同じくらい体がスムーズに動いてるのが疑問だったし無重力シーンはワイヤーで吊られてる感あるし、まぁ全てにおいてCG処理できるしなっていうのが最初にあるので、映像美や迫力はあまり期待しない方が。重点的に描かれてるのは映像よりも人の心理面なので。
"船長の最悪な趣味"として懐かしの70年代ディスコが全般で用いられてて(劇中は近未来なのでひと昔前ではなく大昔の音楽なんだろうけど)、このダサさがユーモアとしてひと役買ってるし、言い方悪いけどああいう"能天気でハッピーな音楽"ってこういうどん底の時こそ必要なのかもなぁ。

「The Martian」は「火星人」という意味になるけど、火星出身の人ではなく他所から火星にやってきて、そしてまた帰っていく、という意味で「オデッセイ(長い旅)」という邦題にしたようだ。
原作タイトルはおそらくユーモアをこめて「(史上初の)火星人」の意味合いだと思うけど、こういうニュアンスは欧米文学になじみのない人にはちょっと通じなさそうだし、苦肉の策なのかな…。


TSUTAYA DISCAS
29勝23敗4引分け。

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)/早川書房

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原作の小説。



長いものに巻かれろ