「項羽と劉邦」(2012年 原題「王的盛宴」 監督/ルー・チューアン 主演/リウ・イエ)
116分
項羽と劉邦 鴻門(こうもん)の会 [DVD]/ダニエル・ウー,リウ・イエ,チャン・チェン

¥1,543
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懲りずに項羽と劉邦…(溜息)。はい日本史で言えば平家物語的な、中国史における有名エピソードです。
原題は王の宴、英題はThe Last Supperだから最後の晩餐か?
――漢の初代皇帝・劉邦。彼は毎夜悪夢にうなされていた。かつて彼を死の恐怖に追い詰めた楚王・項羽、そして項羽を討った功臣・韓信のことが未だに彼を苦しめ続けるのだった。
彼の枕元に皇后・呂雉がやってきて全ては片付いたとささやく。そして丞相・簫何が血まみれの両手で大きな木箱を捧げた。中には、韓信の首があった――
[ここからネタバレ---------
皇帝の座についた劉邦は、いつ誰が裏切り自分の玉座を狙うかと疑心暗鬼に陥り、幾度も共に死線をくぐってきた仲間にすら疑いの目を向けるようになっていた。そしてかつて項羽の配下でありながら寝返って劉邦の元へやってきた韓信を一番に疑い、彼を獄に入れたのだった。
秦帝国打倒に燃えていたかつての頃、破竹の勢いで躍進する項羽の元へ、劉邦は故郷の妻子を救うため兵を借りに行った。劉邦は項羽に気に入られ仲間らと共に項羽の軍に迎え入れられた。そして故郷の官軍を倒し妻に会う。彼女はひどい怪我を負った上に、夫の隠し子を引き取らされていた。その後劉邦は項羽と勢力争いで対立し、呂雉は人質として囚われることになるが、彼女が無事帰って来た時には既に劉邦には別の妻子がいた。彼女は夫に振り回される苦労ばかりの人生なのだった…。
反乱軍の中で一番に都へ入った劉邦。秦王は劉邦軍の来襲に降伏し都を明け渡し玉璽(皇帝の証である印)を差し出した。王宮に入った劉邦はそこでこの世の権力の絶大さを目の当たりにした。その時彼の中で何かが変わってしまった…。
都で大はしゃぎする劉邦だが、すぐそこに項羽の軍が迫って来ていた。項羽は劉邦が都に先に入って王宮の財宝を横取りしたと考えるだろう。劉邦の腹心の張良は項羽の叔父・項伯と親交があったため、彼にとりなしてもらうよう話をつける。
項羽は劉邦に自ら申し開きに来るよう命じた。そして鴻門の陣営へ出向いた劉邦は項羽にひれ伏し玉璽を差し出した。項羽軍の殺伐とした視線の中で宴会が開かれ、項羽の従兄弟の項荘が剣舞を披露する。その剣が自分を狙っていることに気付いた劉邦は恐怖にすくみあがる。危機を知った部下の樊カイが宴に乱入するが多勢に無勢、皆から剣を突きつけられ劉邦は追い詰められる。だが項羽は彼を殺しはしなかった。ただこの上ない恐怖と絶対的服従を彼に植えつけたのだった。その後劉邦は酔ったという名目で中座し命からがら逃げ出した。
王宮に入った項羽。彼の軍下にいた韓信もまたここで権力の偉大さに触れた。そしてひそかに王宮に入ったところを捕えられ項羽の前に突き出される。韓信は書庫の蔵書が全て白書にすり替えられていることを報告し罪は免れるが、項羽からお前も劉邦と同じだと言われる。
韓信は手にした権力に夢中になっている項羽の元を離れ、劉邦の元で頭角を現し大将軍となった。そして垓下の戦いで彼は項羽を破った…。
簫何や張良の請願によって獄から出された韓信は張良の監視下でおとなしく毎日を過ごしていた。だが劉邦の疑心は晴れることがない。その様子を見た呂皇后は張良に韓信を抹殺するよう命じる。張良は、功臣であり友でもある韓信を殺すことはできないと抗うが、皇后はこのままでは劉邦が「殺すべき機会を逃したことで自らの死を招いた項羽」と同じ運命を辿ると突きつける。
簫丞相は鴻門の会の記録が不確かな事を書記たちに指摘していた。大勢の敵将に囲まれ何一つ武器を持たずに行った劉邦がなぜ無事に逃げおおせることができたのか…部下が劉邦の命を狙うだろうと予測していた項羽は侍衛の一人だった韓信に劉邦を護衛するようひそかに命じていた。韓信の導きで劉邦は無事陣営を抜け出し逃げることができたのだ。
丞相の元に皇后がやってくる。そして韓信を殺すことを命じる。皇后の手には韓信が謀反の罪で処刑されたという記録がすでに用意されていた。鴻門の会の記録に韓信の事が書かれていないのも皇后の命によるものなのだった。皇后は簫丞相の記録もここにあるといって竹簡を差し出す。中は…白紙だった。どういう内容になるかはお前次第だと皇后は告げる。韓信だけでなく自身の命までもが皇后の手に握られていることを知った丞相は必死に申し開きをするが、皇后が聞き入れることはなかった…。
簫丞相は韓信の元を訪れ、皇后が宴会に招いていると伝える。それが実質死刑執行の報せであることは韓信にも解っていた。かつて秦帝国を打ち破り自由を手にするため共に戦ったあの頃を思い出しながら韓信は死への扉に向かってゆっくりと歩いていく。
皇后の命で捕えられた韓信はその場で死刑を執行された…。
劉邦は61歳でその生涯を終える。彼の死後、皇后が彼の息子たちを殺害し、さらに400年後に漢王朝はこの世からなくなることをどうして予想し得ただろう。彼の人生は鴻門の会のように常に脅かされ心休まることのない、俎上の魚であり続けたのだ。(終)
-------ここまで]
※あくまでこの映画の物語で史実とは少し異なります。
暗~い。でも好き!特に後半はドロドロした陰謀劇っていうかなんていうか。
とりあえず合戦ものではないことを最初に書いておかないとね。戦闘シーンありません。「壮大なスケールで映画化したアクションエンターテイメント!」ってアオリ入ってるけど大ウソです。アクションないし!!ヽ(;´Д`)ノ
これは人間の欲とそのために引き起こされた悲劇を描いたヒューマンドラマ。劉邦が苦労を経て手に入れた栄光の先に待っていたのは逃げ場のない苦悩の日々。欲望と引き換えに信じる心を失い、友や恩人を手にかけざるを得なくなっていくさまを回想シーンを重ねることで悲劇的に描いていく。
物語はかなり史実に忠実。でもこれは項羽と劉邦のエピソードを知ってる前提での映画。回想シーンが断片的に出てくるので、さっき殺された人物がなんでまだ生きてるの?みたいに混乱する恐れもある構成になってる。最初から最後まで重苦しい雰囲気で、悲劇。救いはない。見てスッキリする要素は一切ない。でも「項羽と劉邦」ファンにはかなりツボに来ますw 劉邦、項羽、韓信が主役格とされてるけど、私は劉邦、韓信、呂雉の三人を描いた作品だと思う。主に晩年の疑心暗鬼に囚われたダークサイド劉邦を描きつつ、彼の若かりし頃を写し出す鏡のような人物として韓信を描く。そして人間として壊れていく夫への愛は残しつつも冷静に情勢を見極め采配を下す呂雉…。項羽はちょっとしか出てこないし心情は描かれてない。一応虞美人心中の場面はあるがこれは外せなかったんだろう、でも正直いらんシーンだったわ。無意味。
ことに呂雉役チン・ラン(秦嵐)の怪演が光る!なんせ史実に忠実な、人望はあるけどアカン男な劉邦の妻だ、同情を禁じ得ない苦労が描かれてるし、女性として彼女の行動はいたしかたないというのか冷静に情勢を見る才女だとむしろ感心してしまうわけで。「美人心計」のダイ・チュンロン(戴春榮)さん演じる呂雉のイメージが強かったけど、こちらの静かな恐ろしさを備える呂雉もリアルで良い!!
主演のリウ・イエ(劉燁)、その自身の欲に振り回され精神が病んでしまった劉邦老人を強烈なインパクトで演じてる。老人劉邦も迫力あっていいけど壮年劉邦も美化されてない人間臭さがすごく良い。ただ顔がイケメンなのでw項羽とあまり差が出てない感じがしたので項羽をもちょっと上品いうか別路線のイケメンに演ってほしかったかも。
韓信はキーパーソンになってる割にはキャラが弱い…もっと執念みたいなのが見えてもよかったのに。彼を擁護する簫何や張良の方が印象に残ってしまった。
あとは秦王・子嬰が、数シーンしか出てこないけど強い存在感を醸し出してた。この映画では重要なトリガーの役割。
ニエ・ユエン、どこに出てきた??最後までわからなかった。エンドロールでやっと鴻門の会で剣舞を舞ってた項荘だったと判明。わかんねー。見直したけど、こりゃわかんねーわ。殆ど顔写ってないし表情見えないし台詞ないし。
さらには范増が「大宋提刑官2」の陛下ことタオ・ザール(陶澤如)さんでした。この范増は私的には相手に不足なしって感じでよかったんだけど、まさか陛下だとは思わなかったよ。策士もイイぜ!d(^▽^)
TSUTAYA DISCAS
2枚ずつしか借りられない。そしてひと月に4枚借りねば損…。
7勝5敗2引分け。