胡同の理髪師 | あさひのブログ
あらすじを見てなんとなく良さそうと思って観てみた作品。
中国が舞台の中国の映画だけど監督はモンゴル人らしい。

「胡同の理髪師」 (2006年 原題「剃頭匠」 監督/ハスチョロー 主演/チン・クイ)
105分
胡同の理髪師 [DVD]/ポニーキャニオン

¥3,990
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90歳を超える理髪師のチンお爺さんと彼をとりまくご近所さん達をドキュメンタリー風にただただ撮っているだけの、特に起承転結はない、物語のない映画。音楽やナレーションは一切組み込まれてないけどそれがあったらもうNHKのドキュメンタリーとして成立してしまうくらい、ただ日常を切り取っただけの映画。
北京の近代化の波に取り残された古い町並みの残る胡同(フートン)。下町のいつもと変わらない日々の繰り返し。だけどふとしたことからチンお爺さんにはある不安がよぎる。ゆっくりとしたペースで不安に歩み寄りその答えを探そうとする。でもそれは長く生きてる彼や彼の回りの人々にとっては事件とはとても言えないくらい、日常の一コマでしかなかったりする。

これは大当たりでものすごーく良い作品でした(^∇^)。地味で玄人好みなアジア映画って感じだけど、元々私の好きな路線というのもあって感動でした。どこか昭和を思わせる懐かしいような古くてごちゃごちゃした下町の風景、そこに住むのはみんな高齢になってきてる人々で、動くのも話すのもゆっくりゆっくり。都会の喧騒とはかけ離れたゆったりとした時が流れてる。癒されるような、でもこの時はいつまでも続くものではないという漠然とした不安のようなものも共有できる。

ドキュメンタリー風にしてるけどちゃんと台本のあるお芝居。監督が実在する理容師チンお爺さんと胡同の街並みを撮りたいと思って取材を重ねて作った話らしい。チンお爺さん役はその本人。つまり素人さん。実際(当時)92歳だって。DVD特典映像のインタビューではまさか90代とは思えない、映画よりも全然元気でしゃきしゃきしてる姿にまた感動してしまった。映画でも、最初チンお爺さんはだいぶお歳でよぼよぼしてて大丈夫かなって感じがするけど、やはり高齢のお馴染みさんの散髪へ行くと、仕事の時はシャキっと背筋が伸びて慣れた手つきで髪を切り髭をそっていく、そこはもう全く歳を感じさせないプロの仕事ぶり。理容師だけあって自分の身だしなみにも気を使ってるし、同じようなお爺ちゃんのご近所さんに囲まれているとチンお爺さんは年齢は行ってても全然若く見える不思議。人間の強さというものを感じることができる。でもこれはこの人だからじゃなくて、実際世間のご高齢の方々は若い人が思ってる以上にしっかりしてるもの。そして長く人生を経験している人の言葉には得てして真実が組み込まれている。それを知っているとこの映画はさらに心に響くものがあると思います。観る人の年齢によって感じ方も変わりそうだけど、高齢化社会を考えるならこの作品はぜひ一度見てほしいと思う。

スピード重視の情報化社会に疲れたら、こういうゆっくりした映画で自身を振り返ってみてはいかがでしょう。



TSUTAYA DISCAS
2枚ずつしか借りられない。そしてひと月に4枚借りねば損…。
5勝2敗2引分け。



長いものに巻かれろ