昔から「本の虫」の児玉清さん。ディック・フランシスらお気に入りの海外作家の小説の翻訳を読みつくしてしまった今は、それらを原書で読むほど!

 読んだ本には感想や思いついたことの書き込み、アンダーラインがぎっしり。こうやって「本を味わい尽くす」のが児玉流・読書術だといえそうだ。

 そんな筋金入りの本好きである児玉さんが今回、選んでくれたのは1冊を除いて、すべてノンフィクション。

 「実用書もいいけれど、心が成長するようなフィクションを読んでほしい。『役に立つ』『すぐわかる』といった価値観から少し離れて、じっくり読み、その小説が言いたいことを自分なりに考えてみる-そんな読書体験は心のキャパシティを広げてくれるはずです」



津村節子自選作品集〈4〉/津村 節子
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上記本におそらく収録されている「流星雨」がおすすめらしいです。


◎あらすじ

戊辰戦争では薩長の官軍に徹底抗戦した会津藩。城が陥落して藩士の娘から一転、流浪の身となった15歳のあきは、力強く生き抜き成長していく。女流文学賞受賞作。


◎児玉清さんコメント

実在の人物の資料を基に「女たちの戊辰戦争」を描いた歴史小説。「恵まれた士族の娘が、戦争で落ちのびて極貧の生活を強いられる。塗炭の苦しみを味わいながらも、懸命に生き抜く主人公の姿が美しい。彼女の意思の力、向上心は今の日本に欠けているものを思い出させてくれる。現代女性にぜひ、読んでほしい本です」


名もなき毒/宮部 みゆき
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◎あらすじ

杉村三郎はトラブルメーカーの社員の調査で探偵事務所を訪れる。そこで出会った女子高生の祖父は連続毒殺事件の被害者だった-現代に潜む「毒」を抉るミステリー


◎児玉清さんコメント

ウーマン読者にもファンが多い宮部みゆきさんの本。テーマは「毒」。「名もなき人々に焦点を絞り、細かい心の襖までも浮かび上がらせるサスペンスは宮部さんの独壇場。この世界に住む人間そのものが毒にほかならない、という重いテーマを読者に突きつけつつも、嫌な後味が残らないのが見事。読後、考えさせられる作品です」

肉体の悪魔/ラディゲ
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◎あらすじ

16歳の少年と美しき年上の人妻、マルトの恋は、いつの間にか悲劇へと突き進んでいく。20歳で夭折した天才ラディケが青年の恋愛心理を描いた不朽の名作。


◎児玉清さんコメント

高校時代に読んでから、心の中にずっとあり続けるのがこの本。「恋愛の純粋さやエゴイズムが余すところなく描かれていて、とても17歳の少年が書いたと思えない。本を読んだ当時、ちょうど映画が公開されたのも思い出のひとつ。読むたび、ジェラール・フィリップとミシュリーヌ・プレーネという主演二人の姿が重なります」