包帯クラブ The Bandage Club/天童 荒太
¥798
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 小さいころはよく本を読む子だったようなのですが、中学高校はまったく本からは遠ざかっていました。読むのはほとんどマンガ。再び読書家(?)に返り咲いたのは大学に入ってからです。一度本屋に行くとまとめて5冊くらい買ってはストックしておくんですけれど、しばらくして見ると、あれ、なんてこの本を買ってしまったんだろうというものもありますね。

 私が本を選ぶ基準は、いわゆる名作といわれるものではないこと、翻訳ものでないこと、テーマ性の高いフィクションであることでしょうか。名作ものは感傷的に過ぎるし、翻訳ものは文体がまどろっこしいな~と思うんです。テーマ性が高い本は、たとえばミステリーでも、その本を一冊読むと国債に詳しくなったり、株に興味が持てたり、社会に起こっている問題に詳しくなったりと、知識が広がる本が好きですね。

 本は基本的には部屋にため込んでしまわない主義なんですが、唯一本棚に残っている本があります。それが天童荒太さんが書いた『永遠の仔』です。これまで読んだ本の中でもっとも感銘を受けた本といっていいかもしれません。以来天童さんの著作はずっと注目して読んできたのですが、私が一冊に選んだのは最新刊の『包帯クラブ』です。『永遠の仔』は”虐待”が中心軸にありましたが、この本は、私の言葉でいうなら、”いまそこにある心”をテーマにしたものだと思います。

 「なぜ、あの子が…」と見える少年少女たちが起こす事件があとを絶ちません。キレやすい、健全でない。そんな言葉でひとくくりにされたりもします。でも、掘り起こしていけば”現実”は個人単位で起こっていることなのだと痛感させられます。

 おそらく天童さんは膨大な取材をし、言葉にできない少年少女の心を一つひとつ丁寧にカタチにしているのだと思います。私自身はどちらかというとのほほんと少女期を送ってきましたから、登場人物一人ひとりに自分を投影することは難しかったのですが”今そこにある心”の一端を垣間見ることができる本でした。少年少女期にある人たちが読めば、きっと心の力、安らぎになるのではないでしょうか。