山路を登りながら、こう考えた。
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。

先日、そういう気分になっていたので、一人で高尾山に登った。
もう一週間以上も前のことである。

人は時に、どうしようもなく一人になりたい時がある。多分。
それで、向かった先が山でした。




ロープウェイを使わず、一番下から登った。

後ろを歩いていた女子大生らしき集団が「エムティータカオをなめていた」
と言っていた。
私も心のうちで、そっと呟く。




森の中をひたすら歩く。
とても気持ちがよかった。森の中にいると、ホッとする。

山を歩きながら、自分と向き合うはずであったけれど、そうもいかなかった。
高尾山だけあって、多くの人が訪れている。
人とすれ違うと、時々挨拶される。
当然、こちらも挨拶をする。

遠足らしき小学生の集団とすれ違った。
一番前の子どもが「こんにちは」と挨拶すると、その後ろの子も「こんにちは」と言い、ズラーっと列をなして挨拶をされる。一つのクラスが終わると、また次のクラスが現れて、なかなか終わらない。
挨拶をしないと、教育上良くないなと思い一所懸命挨拶をした。

解剖学の養老孟司先生は、一日に十分間、人間の作らなかったものを見なさいと言っておられた。
時々、自然を見ないと息苦しくてしょうがない。
自分の見ている世界がいかに固定された色に染められているか。山に登るとそれが少し分かる。