第9回 わたしの愛するベーシスト「ニールス・ヘニング・オルステッド・ペデルセン」 | ブラックミュージック系ロックバンド「Someone」のブログ

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テレキャス×335×スラップベース。ブラックなフィーリングで世界を変えます。札幌。

どうもベースのジョイです。

今回は伝説のウッドベーシスト、ニールス・ペデルセンを紹介します。
ウッドベースという楽器のスキルを1ランクも2ランクも引き上げたのがこの男です。

メロディー楽器としても注目され始めていたウッドベースをエレベを弾くかのごとく自由に弾きこなし、コードプレイ・3フィンガーの速弾き・ハーモニクスなどの超絶プレイを積極的に使用したプレイスタイルには今でもファンが多いんです。
トランペットやピアノを差し置いて手数の多い、なおかつメロディックなソロをとるのである意味では他プレイヤーを殺すベーシストともいえるでしょう。
そのテクニックとは裏腹に鼻にかかったような甘く柔らかい音色に好き嫌いが分かれそうですね。




動画はちょっとアレですが、オスカー・ピーターソンの1981年のライブから隠れた名曲Nigerian Marketplaceです。
ペデルセンのベースがテーマをとってるんですが、実際にウッベで弾いてみると「マジ?」と思うようなハイノートの連続なのでめちゃくちゃ難しいんです。
元々クラシックの素養があるペデルセンにしかできない恐ろしいほど寸分違わぬピッチのよさ。


ビッグマウスだったペデルセンは同業者であるロン・カーターに対しても「ありゃあ最悪だね。ピッチがよれよれだ」と指摘するほど自身のピッチに絶対の自信を持っていたようです(ロン・カーターのピッチの悪さも一つの味ですが)。

さらにピアノソロ中盤からはエレベかと思うほどゴーストノートを多用した16分音符たっぷりのファンキーなラインも弾きます。
オクターブで上下するベースの動きなんかもファンク感が強く音楽性の広さを感じさせます。




こちらはペデルセン作曲(?)のベースソロ。
クラシックの色が濃く秀麗なメロディセンスと完璧すぎるコードプレイが素晴らしい一曲。
途中であのジャコ・パストリアスの有名な「トレイシーの肖像」なんかも弾いちゃって遊び心は忘れません。
おそらくペデルセンはハーモニクスを多用するジャコのプレイにかなり影響を受けたと思われます。





最後は超豪華なセッションから。
クラーク・テリーがリーダーでサイドメンにそうそうたるメンツがそろったドナリー。
どアタマから超高速なテーマをユニゾンするペデルセンに拍手。
そしてテーマと全く関係ないフレーズを弾きまくるオスピーに敬礼。

4ビートでのペデルセンのクセは左手の指を弦に引っ掛けて出すゴーストノートを多用する点。
ペデルセンのベースは音色が豊かな代わりに音のピークが遅く、ウッベ特有のアタック感に乏しいという弱点をカバーするために使ってるのではないかと思われます。
やはり従来の黒人ベーシストのコシのあるグルーヴとはかけ離れているんですよね。
やっぱりぼくはレイ・ブラウンのグルーヴが好きだなぁと再確認するきっかけにもなりました。


ソロは相変わらずぶっ飛んでます。



こんなバカテクなペデルセンですがラインは割とオーソドックスだったり、似たようなラインばっかり弾いたりします。
ソロなんかはどのソロ聞いても疲れてる時は全部同じに聞こえたりします(笑)
というか引き出しは多い方ではありませんね。
おいしいフレーズの宝庫過ぎて、アルバム丸々一枚聴くと胸焼けすることも。


・・・ それでもやっぱり大好きペデルセン。