両国国技館にてアントニオ猪木の団体IGFのチャリティーイベントとなる大きな興行のチケットを譲ってもらったので一緒に行こうとのお誘い。
「行く!」と即答。(笑)
8月27日はそもそも大手プロレス団体の新日本プロレス、全日本プロレス、プロレスリング・ノアの3社が先の東日本大震災のチャリティーとしてプロレス・オールスター戦を行うと発表。
これは今から32年前に、当時のプロレス3団体(馬場率いる全日本プロレス、猪木率いる新日本プロレス、ラッシャー木村率いる国際プロレス)によるオールスター戦が一度だけ行われ、テレビ放送もなくプロレス・ファンには今も幻の大会と言われている、あの大会の現代版というところだ。
こちらはもうチケットも売り切れでヤフオクなどで高額取引などもあった。
それに対して仕掛屋のアントニオ猪木は、同じ日に両国国技館で別のスターを集めて東日本大震災復興イベントを発表。
それがこの「INOKI GENOME ~Super Star Festival 2011~」である。
猪木曰く、武道館だけなら1万人の人しか復興の手助けできないだろう、もう1つ興行があれば2万人が復興支援できることになる、という理論的にはそうだが、同じ日にやるこたないのに…。
また、昔は新日本プロレスと全日本プロレスで同じ日に都内で興行を打ってそういった戦いもしたものだ、と…。
ま、昭和にプロレスを楽しんだ私としては面白くて、プラス今回はちゃんっと復興支援をするのであればいいんですけどね。
で、両国駅に着くと、この日は隅田川の花火大会とバッティング。
駅前はかなりの混雑。
駅前のマクドナルドなんて、「本日、プロレスと花火大会のため、入店後30分までとさせていただきます。」という張り紙まで!(?)
国技館内に入ると、プログラムを入場者に無償で配布してくれる。
太っ腹である。

ロビーでは多くの物販を行なっている一番奥で、なんとアブドーラ・ザ・ブッチャーがでんと構えているではないか!
自身のグッズというにはあまりにしょぼいが、写真やフォーク(!)などを販売していた。
(私個人はかつて全日本プロレス観戦時にブッチャーの自伝を買ってサインと握手をしてもらったことがある。<笑>)
場内は、向正面側を一面つぶして選手の入場ゲートにしてある。

場内アナウンスの声に懐かしさを感じた。
ケロちゃんだ!
ケロちゃんと言うのは新日本プロレス最盛期にリングアナウンサーを勤めた新日本プロレスの名物田中アナウンサーである。
さてこの日の試合だが、肝心のメインイベントは本来ならIGF初代チャンピオン決定戦で、これまでトーナメントを勝ち抜いてきたジェロム・レ・バンナ対ジョシュ・バーネット戦だったのだが、ジョシュがアメリカの「ストライクフォース」とも契約があり、そちらの試合がこれまた何日後だかにあるということで、急遽棄権してしまった…。(なんだかなぁ)
そんなこともあり、当初発表していたマッチメイクと大きく変わる可能性もあった。
そして全カードの発表が行われた。
第1試合 定アキラvs松井大二郎
第2試合 木村秀和vsMASASHI
第3試合 タカ・クノウvsバル・ハルーン
第4試合 ケンドー・カシンvsブラックタイガー
第5試合 ボビー・ラシュリーvsエリック・ハマー
第6試合 藤波辰爾vsミル・マスカラス
第7試合 蝶野正洋vs長島☆自演乙☆雄一郎
第8試合 小川直也vs澤田敦士
第9試合 モンターニャ・シウバvsレイ・セフォー
弟10試合 鈴木秀樹vsハリー・スミス
第11試合 ピーター・アーツvs鈴川真一
弟12試合 ジェロム・レ・バンナvs藤田和之
第1試合~第3試合は、いかにも前座試合的雰囲気が漂う内容。
松井大二郎ももうベテランに入る方なので、こんなポジションで出て来てほしくないんだけどなぁ。
そして第4試合。
プロレスって感じのこのカード。
ケンドー・カシン対ブラックタイガー!

曲者カシンが魅せてくれました。
長尺のローリング・クレイドル。
いやぁ、プロレスです!
結局カシンの得意技の「雪崩式跳びつき腕十字」で勝利。
第5試合の外国人対決は、昔「新日本プロレス」でいう“まだ見ぬ強豪”として呼ばれた外国人が「いっちょ日本人に俺たちの暴れっぷりを見せつけてやるぜ!」と気張って出たら失敗しちゃったっていうあんな感じ。
でもボビー・ラシュリーの身体はすごい筋肉美でした!
そして、私の中でのメイン!!
第6試合のミル・マスカラス対藤波辰爾

マスカラスと藤波が対決するなんて、昔では考えられなかった顔合わせ!
時は流れたんですねー。
その分、二人とも年老いてますが…。(苦笑)
マスカラスはもう身体がおじいさんな感じで、天龍源一郎のような筋肉がたるんじゃったあんな身体。
でもね、ちゃんと往年の技や展開をやるんです。
藤波もそれに合わせた試合運びをするんです。



最後の画像はボケボケですが、マスカラスがフライング・クロス・チョップで飛んでいるのは辛うじて判るかと。
時代は流れ超低空飛行殺法ではありましたが(苦笑)魅せてくれました。
ここで休憩を挟み、次の試合前に「猪木劇場」が!

「イノキ・ボンバ・イェ」にのってアントニオ猪木が白装束で登場。
何故白装束かと言うと、ジョシュ・バーネットの件でこんな大チョンボは本当なら切腹ものだ!と猪木が言ったらしく、それを聞いたスタッフがこの日猪木が切腹するための準備をしていた…そうである。(笑)
リング上には自決用と介錯用の2つの刀が白い布の上に置かれている。
介錯人を呼ばないと、ということでここは本当なら、元横綱の朝青龍が来場する予定なはずが来ていない。
そこで、一番前でゲスト観戦に来ていたと思われる木村健吾を急にリング上に呼びつけ、介錯しろと命令。

いざ切腹!
でも血が出るでもなし、何か猪木がのたうちまわる演技をするでもなく、挙句立ち上がるや「お前、迫力ねえんだよ!もっとズバッとやれ」と木村健吾にダメ出しと責任転嫁。
そして、武道館ではオールスター戦を行なっていることへのあてつけか、32年前の最初のオールスター戦のメインを飾ったカードの選手を揃えたいと言う!
あの日のメインは馬場、猪木vsシン、ブッチャーである。
案の定、最初に「馬場さんはもういないし、今のアジアの大巨人を呼ぼう」ということでチェ・ホンマンを馬場の代理として呼んだ。

続いて、タイガー・ジェット・シンの入場!

シンはさすがです!
登場ゲートでなく、客席から大暴れで乱入!
ターバン巻いて、サーベル振り回して…!!
これも昔なら、観客はみな怖がって逃げたり、文句を言ったりしたのに、今やもうみんな笑顔でやんやの大喝采で写メの嵐。
ここでも時の流れを感じました。
そしてブッチャーのテーマ曲が流れるもブッチャー現れず…。
おや?と思ったらリング下にブッチャーを発見。

ブッチャーはもう杖がないと歩けず、リング下までは来たもののリングに上がるのは不可能だったのでした。
そんな4人のショット。
↓

そんなブッチャーに猪木はマイクを渡して、ブッチャーも「日本がんばれ!」的なメッセージ(多分)を力強くしゃべってくれたと思ったら、なんと猪木、リング下に降りて、ブッチャーの額に何度も鉄拳を!
ブッチャーは途中で本当に嫌がって、自由に歩けない身体でがんばって逃げようとする。
それを追いかける猪木…。
もう、これは善玉ブッチャーにヒール猪木。
時代はやはり変わってました。(苦笑)
そして締めに猪木が「道はどんなに険しくとも笑いながら歩こうぜ。今こそ一歩踏み出し、苦しみの中から立ち上がろう。今こそ元気のある日本を世界へ発信していきたいと思います」と一句詠み、最後は「行くぞーっ!1、2、3、ダァーーーーーー!!!」で皆盛り上がる。
そして後半戦へ突入。
ここからはネームバリューのある選手がどんどん登場。
第7試合は、蝶野正洋vs長島☆自演乙☆雄一郎。
闘魂三銃士で最後まで新日本プロレスを背負って立った男、蝶野。

対するは、K-1 MAXで異色のアニメ・コスプレ・ファイターとしてキモツヨイ長島☆自演乙☆雄一郎。

プロレス対決の中、自演乙がどこまで「プロレス」が出来て、蝶野がどこまで試合を作るかが見もの。

キャリア、体つき、などの違いが大きい。
それでも二人ともがんばっていたと思う。
当然、蝶野選手の勝利。
次の試合では小川直也も登場。

第9試合は、モンターニャ・シウバvsレイ・セフォー。
ともにK-1ファイターである。

K-1でも反則を起こしたシウバの反則負け。
なんかしょっぱいな。
第10試合では、80年代タイガーマスクの好敵手のダイナマイト・キッドのタッグパートナーとして有名だったデイビー・ボーイ・スミスの息子が登場。

ハリー・スミスと言う。
アメリカ最大手マット「WWE」でも活躍したようだ。
顔も父親に似ている。
対戦相手の鈴木選手にあっけない感じで負けるも、この勝ち名乗りを挙げたかのようなたたずまいと爽やかさはスター性を十分持っていると思う。
続く弟11試合では、ピーター・アーツが登場。

鈴川真一と対決。

アーツの人気はすごかった。
また、シェイプアップした身体で、K-1ではもう年だから厳しい、と言うような紹介も多々あったが、とても若々しく見える。
そして本日のメインイベント。
初代IGFチャンピオンのジェロム・レ・バンナの初防衛戦!

挑戦者は藤田和之。

お互いの意地の殴り合い、蹴り合いで、場外戦まで!

最後は完全に火が付いたバンナの猛ラッシュに藤田が倒れる。
ここでレフェリーが静止するも、そのレフェリーを弾き飛ばすバンナ。
そしてマウントでの更なる連打。
レフェリーが止めに入ったと思えたが、藤田のKO状態であることを伝えて試合を止めさせようとしたらしい。
するとバンナはレフェリーにパンチの連打。
反則負けかと思ったら、先にKOを認めていたので、バンナのKO勝利。
その経緯に誤解があったことを知ったバンナはリング上でレフェリーの和田良覚氏に土下座で陳謝。(笑)
全体的には、しょっぱい感じも多かったが、なんか懐かしい気持ちも多かった。
もちろん、マスカラス、ブッチャー、シン、といった選手がいたこともその要因だが、試合が猪木ゲノムといいつつ、馬場時代の全日本プロレスようなまったり感、あるいはU-インターの基礎の手足の取り合い、またIGFは場外カウントをちゃんと取るので場外カウントによる両者リングアウト、など試合の展開がそう思わせた気がした。
外へ出ると、隅田川の花火大会が佳境に。

(ピンボケですが。。。)
そして招待してくれた知人の友人も来場していたとのことで、皆でちゃんこ屋さんに行った。
そこで、一人が「猪木とプロレスの醍醐味は“デタラメ”さにあるんです。それを楽しめないなら見ない方がいいです。」と熱く語っていた。
確かにね、最近は世間的にアンチ不正の方向へ行っていて、余計なところでも正義をかざす風潮もあるのかな?
私も根が真面目な方だから、ついついきっちり見せてくれるものに惹かれやすいようになってきたかもしれないなぁ…。
昔は、プロレスは目先の面白さを追ってそれが成功し、それを続けられて、少し長い目で見たストーリー書きが行われていった。
いつしか、最初の目先の楽しさから、長い目で見た楽しさに慣らされてしまっていた気もする。
猪木曰く「一寸先はハプニング」。
「それでも笑いながら歩こうぜ。」だ。
たまには、おおまかで多少デタラメなことも良しとする度量を待たないといかんね。(笑)
この大会の詳細、結果はこちらで確認ください。